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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■やっぱりカネがあると肉/映画『ウォーターボーイズ』/映画『アイ・アム・サム』
若い役者さんたちには基本的にコメディ演技はできない。だから一所懸命になればなるほどバカに見える「若さゆえの過ち(^^)」を、そのまんま映画にしたのだ。
今や部員は三年生がたった一人、潰れかかった唯野高校水泳部に新しい顧問がやってきた。それがまた真鍋かおり似の(って本人だけど)美人教師。釣られて、入部希望者が殺到したはいいものの、先生の専門はなんとシンクロナイズドスイミング。あっという間に部員は五人に減ってしまうが、今更やめるにやめられない事情のある五人は、一大決意をして文化祭でシンクロを披露することを決意する。ところが直後に先生は妊娠して産休に入ってしまった。
コーチもいないどころか、カナズチばかりの水泳部の明日はどっちだ?!
真鍋かおりの代わりのコーチがイルカ調教師の竹中直人というのも相当、人を食っているが、小出しのギャグが重層的に積み重ねあげられてストーリーが構成されているのがいい。柄本明がゲイバーのママ役ってのはハマリ過ぎててかえって笑えないが。
恋愛ネタが絡むのはまあこの手の青春ものの定番だから仕方がないが、それほど物語の流れを阻害しない程度なのでこれもよし。っつーかそれもちゃんとギャグになってるし。ヒロインの平山綾もかわいいことはかわいいが、個人的にはメガネっ子三人娘のまん中の秋定“「あぐり」の少女時代”里穂がイチオシだ。自分たちを少しでもかわいく見せようと、メガネを取って、目を顰めながらウォーターボーイズたちを誘うシーンはメガネっ子萌えの心臓を打ちぬくことは必至。思わず私も映画に向かって心の中で応援しちゃったもんね、「違うぞ里穂ちゃん! メガネ取らなくったって君は可愛い! かわいいんだああああ!」。
アホですか? アホですね。
でも、やっぱりバカっていいよ。「なんでシンクロ?」って疑問、アタマのいいやつはどうしても考えちゃうだろうけれど、これを去年見ていたら、絶対邦画のベスト3くらいには押してたろう。去年はホントに日本映画豊作の年だったんだなあ。
ちなみに、水泳部員の一人に、『ウルトラマンコスモス』の主演、杉浦太陽がチョイ役で出ていたぞ。でもどこに出てたか全然わかんないから、この映画までオクラ入りになることはあるまいて(^o^)。
続けて映画『アイ・アム・サム』をハシゴ。
予告編を見たときには、知恵遅れのパパと賢い女の子との愛情生活を描いた感動モノかと思ってたら、ちょっと違ってた。確かにそういう要素はあるけれど、基本的にはこれ、全編が裁判ものだったのだ。
つまり「知恵遅れのパパに子供の養育を任せていいのか?」ってことが児童相談所の訴えで裁判になったところからドラマは始まるのね。
物語自体はそれを結局は「愛情」の問題にスライドさせていくので、予定調和でいささかつまらないのだけれど、それよりも見ている間ずっと気になってたのは、こういう映画が成立してしまうってのは、やっぱり訴訟社会であるアメリカのお国柄だからってことなのかってこと。
「親が知恵遅れでも子供を任せていいのか」って問題自体についての答えは簡単だろう。「程度による」。違うか?
で、映画のサムの様子を見る限り、任せてはいけないレベルとは思えない。サム自身は安月給ながらもスターバックスでちゃんと給仕の仕事をこなしているし、子育てに悩みあぐんだら、近所の人に助けを求める知恵も持っている。もしもこれが日本の場合だったら、と想定してみたが、この国もだんだんと訴訟社会となりつつあるから簡単に断言することはできないが、この程度のことなら、まず問題にすらならないのではないか?(つーか、日本の場合、もともと知恵遅れの人が結婚できるかどうかという問題の方が大きいんだけど)。
この映画が「甘い」のは、そういう問題について真剣に考えるなら考えるで、学力のみでサムを親として不適格とする検察側の主張に対して、弁護側が、通り一遍の愛情論でなく、現実に知恵遅れやヒキコモリの人たちがよってたかって娘のルーシーを育てていけたのはなぜか、という点をキチンと検証・主張していないところだ。
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06月21日(金)
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