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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■大宰府の赤い橋/DVD『幕末未来人』1〜3/DVD『ピンクレディ&ジェフ』
 鉄矢はフラレた。次々に肘鉄を食らった。そして、「呪い」の存在を知り、次にできた彼女とは「これを逃したらあとはない!」とコブシを握りしめ、決して、太宰府には行かなかったのだ。
 その最後の彼女が、今の武田鉄矢の奥さんなのである。
 恐ろしい話である。
 実は私も、若いころ、当時の彼女と大宰府に参ったことがある。
 しかし、私はかつて、神様をナメていた。
 そのウワサを知ってはいたが、「ボクラの仲は誰も引き裂くことはできないさあ!」とかなんとか腑抜けたタワゴトをほざいていて、平気で手なんか握ったりして、るんたるんたと赤い太鼓橋を渡っていた。
 結果はどうだったか。
 別れちゃったのである。マジで、その直後に。
 なんとオソロシイ話であろうか。
 千年の時を越え、道真公の呪いは武田鉄矢と私を奈落の底に突き落としたのだ。
 他に楽しみないのか道真、とか考えてて、ハッと気付いたのだ。
 私は藤原氏の子孫なのである。藤原姓だった祖父が四国生まれだったから、本家じゃなくて、純友系じゃないかという気もするが、先祖が藤原を名乗っていたのは事実だ。つまり道真とは仇敵の間柄。呪いがかかっても仕方がない立場だったのだ(じゃあ、武田鉄矢は? とかそこで突っ込まないように)。
 私は迷信ぶかい方ではない。
 しかし、偶然であろうと、呪いの結果は確実に出ている。
 しげが「太宰府に行きたい」と言い出したのを聞いて、私はマジでビビッたのだ。
 私は悩んだ。
 私が「太宰府になんか行きたくない」とゴネた場合、しげのウラミがどれほどのものになるか。
 悩んだ末に結論を出した。
 たかが左遷で怨霊になれるくらいなら、しげのウラミは道真を越えるだろう。
 これは道真対しげの戦いである。ゴジラとガメラのどっちが強いかってなものである。
 よし、賭けよう。しげに。
 しげが勝つ。夫である私がしげを信用せずにどうするのか。
 行くぞ、太宰府に。
 来るなら来てみろ道真。
 だから祟りはしげ一人にかけてね(←ド外道)。
 
 というわけでここは太宰府である。
 随分早く着いたようだが、交通期間を使って行くと、乗換えやら何やらで、1時間以上かかるのに、車だとウチから一本道で20分ほどで着くのだ。こんなに近かったのか、太宰府。って、ほとんど隣町だから当たり前なんだけど。
 以前、仕事の関係で天満宮に来たときには結構参道も混んでたように記憶するが、今日は時間が昼前なせいか、人通りはそれほどでもない。
 「このくらいがちょうどいいね」と言いながらしげは私にひっついてくるが、客が毎日この程度じゃ商売上がったりだろう。道すがら、店先を覗いて行くが、昔ながらの梅が枝餅屋が軒を並べているが、子供のころには多分なかった店も結構ある。オルゴール専門店なんて、なぜそんなものが太宰府に。こないだ来た時にあったガラス細工の店は見当たらない。短い時間の流れの中でも少しずつ様変わりしていっている感じだ。
 しげは、「テレビで紹介されたコロッケ」とか、「ヤキトリ」とか、縁日っぽい食いものにばかり興味を示す。「どこかの店に入って食事する?」と聞くが、気に染む店がないのか、べたべたしてたいのか、生返事。
 ともかく、鳥居をくぐって中へ入ると、左手にもう例の赤い太鼓橋が。
 「その昔の彼女と、ここへ来てからどれくらいで別れたん?」
 「……二ヶ月くらい?」
 「ああ、なら効き目あるねえ」
 効き目って言うのか、そういうの。
 ともかく、まるで何かに挑戦するように「手をつないで」橋を渡る。来るか道真、と思ったが、特に悪寒も何も感じるものはナシ。今日が6月15日だから、破局が訪れるとしたら、8月15日だ。……終戦記念日じゃん。勝負を決するにはいい日和……なのか?
 お参りしたあと、だざいふえんの方まで足を伸ばしてみるが、中には入らず。さすがに遊園地で遊ぶほどのカネはない(トシの問題じゃないのかよ)。代わりといってはなんだが、池があるところでは必ずやってる鯉のエサ巻き。店先にパンが
 しげは「またあ?」とか言うが、なぜか止められないのよ、コレが。

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06月15日(土)
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