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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■有久家の崩壊……直前?/『パタリロ西遊記』4巻(魔夜峰央)/『くらたまのお蔵だし』(倉田真由美)ほか
 あのころに戻ってみたい、バイトをしながら、今とは比べモノにならないくらいの微々たる給料でも、おカネを手渡されるのを心待ちにしていた日々を懐かしんではいないか。
 ある意味これもまた緩やかな現実逃避なのだろう。
 トバッチリはしげに来てるみたいだけれども(^_^;)。


 マンガ、魔夜峰央『パタリロ西遊記』4巻(白泉社/花とゆめコミックス・410円)。
 原作にもある三蔵法師の妊娠話(^o^)。
 昔のドラマじゃ、夏目雅子がウンウン唸ってたなあ。あのドラマの功罪はいろいろあって、あれ以来、三蔵法師は女性が演じるものと決まっちゃった。ホントの三蔵は、ガッシリした肉体派だったらしいけど。女が男のフリして臨月シーン演じるのって、なんだか妙に可笑しかったな。
 マライヒは一応男だから問題ないのか。
 でも本編ではフィガロ生んでるし、もしかしてフィガロをここで生んで一行に加わるなんてことになりゃしないかって、心配しちゃったよ。
 このペースで行くと、原作を消化するのに軽く10巻以上はかかりそうだけど、ちゃんとそこまで連載を続けさせてもらえるのかなあ。『パタリロ』本編は確かに70巻を越して未だに終りそうな気配もないけど、それ以外の連載は『ラシャーヌ!』と『妖怪始末人トラウマ』(&『トラ貧』)がちょっと続いただけで、あとは軒並み数巻で打ち切られてるからねえ。
 私は魔夜さんのしょーもないギャグが好きなので、ぜひ人気が出て続いてほしいんだけど。
 ついでに山本貴嗣の『西遊少女隊・完全版』も読み返す。これも続いてほしかったのに打ち切られちゃったやつ。美少女三人組と「最終教師」こと茶羽顔八のバリエーションであるアルピニスト三蔵とのコントラストが楽しかったんだけど、牛魔王も金角銀角も出せずに終わっちゃったんだよね。残念。


 マンガ、倉田真由美『くらたまのお蔵だし』(扶桑社・900円)。
 『だめんずうぉーかー』がヒットしなければ出るはずもなかったことが確実なくらたまさんの初期作品集。
 けど、出なくてもおかしかないよな、くらたまさん本人が「西原理恵子のマネをした」と告白してたけど、どうしてどうして、まついなつきやら中崎タツヤやら内田春菊やら臼井儀人までパクリまくってるよ。
 「どこかで見たような」マンガじゃオリジナルとして評価はしてもらえないよねえ、やっぱし。
 けれど、私がくらたまさんを「面白い」と思ったのも、昔、巻頭収録の『マンガ家への道』を読んでからだった(『だめんず』以前から注目はしてたんである)。
 有名大学を出ているというだけで就職は楽勝!と錯覚し、受ける会社受ける会社ことごとく落ち続け、藁にもすがる思いで描いたマンガが「ヤンマガ」の奨励賞に引っかかり、なんとかマンガ家デビューはしたものの、全く単行本が出る気配もなく、カツカツの生活をしながらいつかヨメに行ける日が来るのだろうかと不安な日々を過ごしているって……。
 なんだかねー、ここまで馬鹿女だとねー、むしろかわいく思っちゃうのよ、男は。つきあうとしつこそうだからコナかけはしないけど。
 やっぱり作ったマンガはたいしたことない。くらたまさんの真骨頂は自分切り売りマンガである。せっかくリコンという楽しいイベントも経験したんだし、そのへんの事情をマンガにすればまた化けると思うんだけどな。今こそ内田春菊を見習おう(^o^)。


 なんだか三谷幸喜を見返したくなって、劇場映画第一作でキネマ旬報の脚本賞を受賞した映画、『12人の優しい日本人』を見返す。
 今は亡き演劇雑誌『しんげき』にこれの舞台版の脚本が載っているのだが、それと比較しても細部に渡って変更が加えられているので、俄然面白くなっている。本家の『十二人の怒れる男』ほどのインパクトはないけれど、実は同じ陪審員劇とは言っても、社会派ドラマを目指した『怒れる男』と、単純な推理劇である『優しい』とは似て非なるものなので、比較してもあまり意味はないのだ。

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06月11日(火)
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