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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■カニの味がわからない/『かしましハウス』7巻(秋月りす)/『焼きたて!! ジャぱん』2巻(橋口たかし)
けれどそれは、悪いのはあくまで偏見の眼で見る男の方なんであって、それに迎合するように女性が年齢を隠したり、サバ読んだりしてちゃ、女性自らが「女の価値はトシの若さである」と認めることになりはしないか。
年齢を堂々と言って、それで男の態度が変わるようなら、苦労せずに相手の人格のレベルが計れてちょうどいいと思うがどうか。
なんでこんな話題を切り出したかと言うと、ウチの職場にもそんなスットコドッコイがいたりしたからだ。
つい先日、いかにも無遠慮なセクハラバカが、やっぱり「ねえ、トシいくつ?」と同僚の女性に向かって聞いていたことがあった。そのときちょうど間近にいた私が、女性が返答に窮している様子を見て、「そういうことはあまり聞くもんじゃ……」とか助け舟を出した。
そのことに感謝されたのかどうか知らないがその女性、今日になって、世間話している最中に、「私、昭和49年生まれなんです」と仰ったのだ。
実際、その方がおいくつかなんて気にもかけていなかったのだが、なんとウチの女房よりも若かったとは……。
思わずビックリして、私はとっさに叫んでいた。
「昭和49年って……『メカゴジラの逆襲』のトシじゃないですか!」
し、し、しまったあああ!
私がオタクだということはできるだけ職場の同僚には隠していたのにいいいい!
せめて「『アルプスの少女ハイジ』の年ですね」とか「『宇宙戦艦ヤマト』の年ですね」とか言ってたら、まだキズは浅かったかもしれないのに……あまり変わらんか(T∇T)。
さすがに『メカゴジラ』には同僚の女性も、クスクス笑っている。あまり引いてはいない様子なのがラッキーだった。ここはなんとか話題を変えねば。
「ちょうどそのころは山口百恵の映画に入り浸ってましたねえ、私は。『ひと夏の経験』がヒットして、『伊豆の踊子』が封切られたのが昭和49年ですよ。56年に引退するまで、ほぼ全ての百恵映画は見に行きましたねえ。何しろ友和とコンビを組んでない『初恋時代』とか『エデンの海』とかまで見に行ってましたから」
と、ここまで喋って、ハタ、と気がつく。何となく同僚の女性、困惑しているような表情。
え?
ついてけないの? 話題に。
待てよ、『伊豆の踊子』の年に生まれたってことは、この方、もしかして……。
えええ?(゜゜;)!
……恐る恐る聞いてみる。
「……すみません、もしかしたら、山口百恵って、よく知らないなんてこと……ないですよね?」
ところが同僚の女性、申し訳なさそうに眉根を寄せて……。
「すみません、三浦友和と結婚した人ってのは知ってるんですけれど……」
……うわあああ、自分の同僚に山口百恵を覚えてない世代がもう紛れこんでいたとはああああ!。
油断していたのだ。
しげもこの女性とほぼ同世代なのだが、しげと会話するときには、私はあまり世代のギャップを感じずにすんでいた。なんとなれば、なつかしモノの大好きなしげは、自分が生まれるより十年程度過去の歌手とかドラマなどもよく知っていて、私の振る話題にも全然平気で付いて来れていたからだ。
しかしよくよく考えてみたら。
今年、大学を卒業したばかりの22歳の新社会人たちは。
昭和55年(1980)生まれだったりするんである。
もろ戦後生まれじゃねーかよう(この場合の「戦争」とは、当然「一年戦争」である)。
昭和40年代生まれってことで「若いなあ」なんて思ってられる時代じゃなくなってきてるのだ。平成だってもうすぐそこだ。
ちょうどそこに通りかかったもう一人の女性の同僚の方(こちらは私より年上)に向かって、私は思わず叫んでしまっていた。
「ねえ、聞いてくださいよ、この方、『山口百恵をよく覚えてない』なんて言うんですよ!」
年上の同僚、一瞬絶句したあとおもむろに、
「……私も母に聞いたことがあるだけで……」
女性はやはり年齢に関してはいつまでもどこまでも見栄を張りたがるものなのかなあ。
何かにつけ、しげは私にヤツアタリしてばかりいるが、今日も迎えの車の中で「アンタはいつも冷たい」とブー垂れている。
「いつも無愛想にしか返事せんし」
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05月24日(金)
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