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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■ジンクス再び/『ジャングルはいつもハレのちグゥ』9巻(金田一蓮十郎)ほか
しげの左足を見ると、なるほど、信じられないくらいに腫れあがっている。
ギャグマンガなんかで、タンコブがぷっくりとモチみたいに膨らんで描かれてたりするが、まさしくあんな感じだ。実際、足の甲が盛りあがって、シャレじゃなく足の幅が2倍になっている。
「骨は?」
「指が曲がるから折れてないとは思うけど」
というしげの言葉をマトモに信じることは出来ない。折れてないにしてもヒビが入ってるくらいの可能性はある。テーブルの天板、多分10キロくらいはあるはずだ。
「救急車呼ぶから待ってろ」
休日だし時間はまだ朝の6時だ。救急病院以外は直接行っても診察してはもらえないだろう。大袈裟だけれどそれ以外に手はない。
「骨折してるかも」ということで連絡すると、2、3分で救急車が来る。
部屋は三階なので、玄関に降りるまで手を貸す。しげ、ケンケンしてついてくるが、それだけでもかなり痛そう。
担架に乗せられ、救急車に運びこまれるしげ、息が相当にあがっている。
署員の方が、あちこちの病院に連絡を取ってくれるが、予想通り、近場の病院は満杯なのか当直がいないのか、たいてい搬入を拒否される。
……死にはしないだろうが、こういう「タライ回し」に近い感じって、やはり気分はよくない。ようやくちょっと離れた、練習場に近いところの病院と連絡が取れてそこに運びこむことになる。
以前も確か、車に撥ねられて救急車で運ばれたんだよなあ、しげ。
人には目が悪いんだから気をつけろだの、何かにつけ不注意だの、文句ばかり言ってるくせに、実際にケガをするのは決まってしげの方なのだ。私は確かに目が人一倍悪いが、意外とカンが働いてそんなに大きな事故にはあわない。
不注意という点ではしげの方が圧倒的に勝っているのだ。今回も、一言私に声をかけてさえいればこんなことにはなってないのに、ともう一度愚痴る。
公演本番直前だというのに、自分の立場ってもの、考えてるのか、しげ。
病院でレントゲンを撮ってもらうが、幸い、骨折はない。
けれど相当に腫れてはいるのは事実なので、結局、ギプスは着けることになる。
しげ、いかにも練習をしたさそうな気配だったので、お医者さんに、「安静にしとかないといけませんよね? 車の運転とか無理ですよね?」とあえて聞く。
「当然です。足は上にして、血が溜まらないようにして寝ていてください」い者はそう言ってくれてるのだが、しげは多分、話半分にも聞いちゃいないだろう。
松葉杖を貸してもらって、薬と湿布をもらって、タクシーで帰宅。
連休にようやく入ったってのに、ゆっくりさせてもらえないんだもんなあ。
練習に行きたがってるしげに「馬鹿」とクギを刺して、今日集まる予定のメンツに電話で連絡をしまくる。
しげ本人に連絡をさせると、「やっぱり今日、練習に行く」とか言い出しかねないし、下手に劇団の連中がウチに「見舞いに行く」とか言い出したりした日には本気で困る。
しげはさびしんぼうだから、まず確実に見舞いを断れない。
それでも休んでいればいいが、客が来ればしげは確実に応対する。というか、じっとしてはいられない。何度も日記に書いてるが、しげは頭が弱いのだ。しかし、ウチの劇団の連中も頭は相当に弱いので、しげを気遣えないのがはっきり解る。「見舞いに来るな」と直截的には言えないが、せめてそれくらいの様子は察してもらわないとなあ。
8時近くになってるってのに、みんながみんな、まだ起きてね〜んでやんの。
よしひと嬢は風邪を引いていて、今日は休むとのこと。
ウチに泊まりの予定だったが、偶然とはいえ助かった。別によしひと嬢を迷惑に思っているのでなく、しげは彼女の前だと、緊張してドジまくるのである。全く、レズっ気あるヤツはこれだから(-_-;)。
穂稀嬢も鴉丸嬢も寝惚け声。穂稀嬢には練習場のカギを開けてもらわなければならないので、手続きの方法をメモしてもらう。
「ふわ〜い」とか、声が宙をさまよってたが、大丈夫だろうか。
でも、鴉丸嬢に比べてみたら、それもまだマシだった(-_-;)。
「今日さあ、かくかくしかじかで、しげ、練習に行けないから」
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05月03日(金)
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