ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491726hit]
■疲労度の爪/『コミック伝説マガジン』No.6ほか
明日からはお茶作ったら間を置かずに冷蔵庫に入れにゃならんなあ。
……でもどういうわけか、こういう単純作業ほど、やること忘れちゃうんだよねえ。
マンガ雑誌『コミック伝説マガジン』No.6(実業之日本社・680円)。
おお、急にボリュームが倍増した。というのも、今まで週刊誌形式の中綴じ(二つ折りにして真ん中をホッチキスで止める形式のやつね)だったのを、平綴じ?(背表紙つき)に変えたおかげだ。
なんたって、表紙の『8マン』の復刻だけじゃない、吉田竜夫の『宇宙エース』は別冊フロクで付いてくるわ、ジョージ秋山の『デロリンマン』は三度目の復活を果たすわ、若い人たちに読んでもらって、「こんなすげえマンガがあったのか!」と驚いてほしいものばかりだ。
私たちの子供の頃、「一番うまいマンガ家は誰か?」と質問されたら、同世代の者ならたいていが「桑田次郎」と答えていたと記憶する。今ならば、マンガの上手下手は単に「絵のうまさ」に帰するものではないと考えるところだが、シャープな線、スラリとした等身の桑田氏の絵は、ダントツに「うまく」見えていた。それこそ手塚よりも石森よりも。
桑田氏が例の銃刀法所持違反で逮捕、マンガもアニメも中断してしまった事件は、当時の私はほんの数歳であったのだが、鮮烈に記憶している。正義のヒーローである8マンと、作者が犯罪を犯したという事実とが、イメージの上でどうしても結びつかなくて困惑したことを覚えている。
後年、アレが警察のイヤガラセ的摘発ではなかったか等の指摘があることを知って、ようやく「桑田さんに罪の意識はなかったんだろうな」と納得することができた。持ってるだけで犯罪になる、とは余り深く考えていらっしゃらなかったのだろう。
アレが世間に対するデモンストレーションっつーか、「見せしめ」だとすれば、警察も相当タチが悪い。今更だが、桑田さんに8マンの新作を描いてほしいくらいである(平井和正の原作をナレーションまでそのまま移しただけの『魔人コズマ』とかじゃなくてね)。
桑田次郎のインタビュー、これまででもよく語ってたことだけど、あの人、全然自分の原稿に執着ないのね(^_^;)。原稿を散逸してるばかりか、自分が描いてきた作品自体、覚えてない。おかげで今回の表紙も綴じ込みポスターも全部「新作」だ。ああ、でも全然、線が衰えてない! 新作描いてくれよ〜、原作無視して(^o^)。
しかし『デロリンマン』復活とは誰がしかけたワザか。
『黒ヒゲ探偵帖』や『パットマンX』、『ほらふきドンドン』などで、生粋のギャグマンガ家だと認識されていたジョージ秋山が、一転、シリアスマンガどころか超異色の問題作を発表し続けるキッカケとなったのが、母親による子殺し、人肉食らいなどを扱った『アシュラ』。このマンガと永井豪の『ススムちゃん大ショック』のおかげで、我々の世代は、佐川くんの事件にも昨今の子殺しブーム(おいおい)にもたいしてショックを受けずにすんでいる。ま、人は人を殺すもんだよってか?
『デロリンマン』がジョージ氏の作品群の中でも特に異色なのは、オリジナル版がギャグで、リメイク版がシリアス&ギャグの折衷、そしてどうやら今回の再々作品が完全シリアスで描かれるらしいというところだ(もっともこの作者にギャグとシリアスを区別する意識はさほどないように思うが)。
同じ題材でこれほど作風を変えて描かれるというのも、『鉄腕アトム』並ではないか(^_^;)。
旧作を知っている人に解説は蛇足だろうが、エリートサラリーマンだった男が苦悩の末自殺、奇跡的に命は助かったが、その容貌は化け物のごとく変貌し、「魂の故郷へ帰れ!」と道行く人を折伏しようとする○○○○になっちゃったという、今考えても相当にアブない設定。
しかも今回、いきなリデロリンマン、道端でアーサー・ミラーの『セールスマンの死』を演じだすんだものなあ。うわあ、一段と説教臭くなってやがる。……でも、やっぱり出るぞ、今回もアレが。
そう、「オロカ面」。
[5]続きを読む
05月01日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る