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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■多分、しょっちゅう見ている夢/『おせん』其之三(きくち正太)/『END ZONE』1巻(えんどコイチ)ほか
『ちょんまげ手まり歌』『目こぼし歌こぼし』、何しろどの話もハッピーエンドを拒む。
ちょうど、児童文学はこのままでいいのか、という議論が活発なころだった。
子供向けだからということで、現実の社会をいささかも投影しない絵空事ばかり描いていていてもいいものか。
上野さん自身、評論と実作の両面からその議論のウズの中に身を投じていた。
結果、上野さんの作品はいずれもが、たとえ猫の世界を舞台にしたものであっても、「現実」を色濃く映しだしたものになっていたのである。
私は、彼女と一緒に上野さんにお会いしたことがある。
1984年、夏。
講演会の後だったが、児童文学を研究している者です、と自己紹介したら、30分以上も時間を割いてお話をしてくださった。
「現実とファンタジーとは必ずしも融合しないのではないか、現実を取り入れたら、おもしろさは半減するのではないか」、そんなことを質問したと思う。これも若気の至りで、上野さんの作品自体を揶揄しているようなつもりでいた。『ひげよ、さらば』の淋しいラストが、当時の私にはよっぽど腹立たしく思えていたのだろう。それとも、彼女の前でエエカッコしいでいたかったのか。
上野さんは、そんな私の挑戦的な態度に、怒りを示そうともしなかった。「物語の力はそんな弱いものではない」。そんな意味のことを仰っていたが、その口調はあくまで優しく、しかも元気に満ち溢れていた。
五十歳を越されてはいたが、身振り手振りも大仰で、作家にありがちなえらぶったところが微塵もなく、年に似合わず飄軽な印象すらあった。勢いに乗っている新進作家、そんな感じだった。
「次はもっとおもしろいのを書くよ。まだ全然考えてないけど」
そう言って上野さんは笑った。
『砂の上のロビンソン』が上梓されたのは、その後、1987年。
遺作、『アリスの穴の中で』は1989年。男が妊娠する話だ。映画『ツインズ』は前年に公開されていたが、連載執筆は『ロビンソン』の直後から始まっているので、アイデアとしては上野さんの方が早い。
何より、今、男の妊娠を一つの寓意として語ることで、男の社会的脆弱さを暴いて見せた点で、上野さんの小説の方が一等おもしろかった。
上野さん、あの時は、貴重なお話、ありがとうございました。
あの時の彼女とはもう別れてしまいましたが(^_^;)。
安らかにお休み下さい。
眠田直さんのホームページ『MINDY POWER』で、「第一回日本オタク大賞」の受賞結果が紹介されている。
受賞結果は以下の通り。
◎大賞 『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」(製作シンエイ動画・ASATSU-DK・テレビ朝日/原作臼井儀人/監督脚本原恵一)
◎話題賞 株式会社セガ
◎DVD賞 『ウルトラQ』
◎国際貢献賞 秋葉いつき
◎血糖値賞 チョコエッグ
◎佳作 『こみっくパーティー』
◎佳作 スタジオジブリ
◎唐沢俊一賞 『ゴジラモスラキングギドラ 大怪獣総攻撃』
◎岡田斗司夫賞 ちゆ12歳
◎眠田直賞 『パワーパフガールズ』
◎切通理作賞 『あずまんが大王』
◎氷川竜介賞 食玩「超人ヒーロー伝説」
もう、選考の仕方自体が超オタク(^^)。つーか「スタジオジブリ」なんてのは意地悪以外のなにものでもないな。
大賞は当然、これだよなあ、という結果か。
今後、なんたら映画賞とかかんとかアニメ賞とか、あちこちのメディアでいろんなトップ作が発表されていくだろうが、『クレヨンしんちゃん』を見てもいない映画人や評論家気取りの連中のタワゴトなど、全部無視してよろしい。『GO』なんぞに票を入れたキネ旬御用達の評論家など、クズの集まりだ(と、見てもない映画をクズ呼ばわり)。
ああ、これだけメジャーで、しかもオタク受けする映画が生まれた2001年の奇跡よ。
あと、細かい解説してたらキリないので、一言二言だけ。
秋葉いつきってのは日本人じゃありません。ロシアのコスプレ娘です。私はそれほど好みじゃねぇっす。
『ちゆ12歳』、日記の筆致を見る限り正体は多分、男。
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01月28日(月)
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