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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■それでもアニメだけは見る/DVD『名探偵ポワロ エンドハウスの怪事件』/『フルーツバスケット』3・4巻(高屋奈月)ほか
原作は未読だったので、純粋に犯人当てを楽しむつもりで見たのだけれど、傑作の評判とは裏腹に、ミスディレクションがうまく利いていなくて、早々に犯人が分ってしまって拍子抜け。犯人の見当がつけば、動機もトリックも芋づる的に見えてくる。
ただ、これは吹替版で見たせいがあるかもしれない。
だって犯人の声が、あのヒトなんだよ(ミステリーのエチケットとして、誰かは明かしません)。「善人ぶったフリしてやがるけど、絶対犯人だよな、コイツ」って気がしてしまうのだ。……日本の役者って、層が薄いから(-_-;)。
仮にもミステリだってことを吹替演出のスタッフも意識してだよ、キャスティングにはもっと気を使ってほしいもんなんだけどねえ。
南イングランドに休養にやってきたポワロは、エンドハウスの美しき女主人、ニック・バックリーと知り合う。ところが、彼女はこの数日で、三度も命を狙われていた。そしてなんと今度はポワロの目前で,何者かがニックを狙撃した。ポワロは自ら謎の解明に乗り出すことを決意するが、名探偵の注意も虚しく、人違いか、パーティの最中、ニックの従妹マギーが射殺されてしまった。殺人者の魔の手は更にニックに忍び寄って行く……。
途中、あまりにも謎の糸口がつかめないために、ヘイスティングスが根を挙げて、ゴルフをしに逃げようとするシーンがあるが、これはNHK放送の吹替版ではカットされていたもの。確かに本筋には関係ないとこだけどさ、こういうとこがドラマの美味しい部分なんで、できるだけテレビ放送の際もカットは少なくしてほしいんだけどねえ。
アテレコテープがないために、その未放映シーンだけ、字幕スーパーになるんだけれど、予算をケチらずにちゃんと声優さんにアテてほしかったなあ。わざわざ大枚叩いてDVDBOXまで買ってるんだよ? 『コロンボ』はそうしてるんだし、できないことないと思うんだけどなあ。
『サイボーグ009』第14話「再会の地で」。
予想通り、原作の「ベトナム編」は、設定を008の故郷、ムアンバ共和国(原作じゃどこかボカしてたなあ)に移殖。ちょっと『黄金のライオン編』なんかも混じってるかな。
現実にベトナム戦争が終わっている以上、舞台を変更するのはやむを得ないとしても、戦争の描き方があまりにも単純に過ぎないか。独裁者と独立戦線という単純な二項対立じゃ、結局は加害者と被害者、正義と悪との対立としか戦争を描けないのではないか。原作の凄さは、政府軍にもベトコンも、どちらにも正義はないとした点にあったんだけどなあ。
「ベトナム編」は、後年、宇宙にまで舞台を広げることになり、「死の商人によって改造されたサイボーグ」という本来の設定が意識されなくなっていったことを考えると、もっとも『009』らしいエピソードだったと言える。なのに、アニメ版はそのあたりの描写が、カルピスウォーターを更に水で薄めたような表現に留まってしまった。……「ベトナム編」のプロローグの「戦争は人間の宿命なのだろうか?」というナレーションは、ぜひともピュンマに語ってほしかったんだけどなあ。それともラストに回したのか?
ウンババ大統領(このネーミングもなんとかならんか)の「独裁」ぶりも全く描かれないのはどういうわけか。虐殺のシーンなんかはやっぱりテレビコードに引っかかるのか。DVDで出すなら、止め絵のカットでもいいから、実際にベトナムで行われた虐殺や空爆も描いてほしいもんだが。
ついでに言えば、「サソリとカエル」の詩の朗読も。
マンガ、高屋奈月『フルーツバスケット』3・4巻(白泉社・410円)。
ああ、ちょうどアニメ見て、初めておもしろいなあ、とか思ったあたりだ。
もちろん、綾女さんとゆーか「あーや」の高校時代のエピソードのことね。
もっとも、長髪を咎められて「実は私は王族なんです」と校長を言いくるめようとするシーンや、歓楽街にしけこんだ生徒を弁護しようと「ボクに欲情したまえ!」と嘯くシーン、好きなんだけど、演出的には、アニメの方がずっとおもしろかった。
これはギャグとしては誰でも思いつくネタなので、「間」が肝心なのである。高屋さんのコマ割り、残念ながら今一歩。
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01月20日(日)
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