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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■言えない話と男の優しさと英語落語と/『西岸良平名作集 蜃気郎』1巻(西岸良平)ほか
どうして「ロボットに意志なんてあるはずがない」というアンチテーゼをきちんと見せておかないのかなあ。意志のないはずのロボットが意志を見せる、そこに感動が生まれるのは『ジャイアントロボ』以来の鉄則だろう。なのに最初から006とロボットが友情を交わしているように描写していったら、予定調和でしか話が終わらないじゃん。『ロボ』は横山光輝でイシモリじゃない、というご指摘もあろうが、だったら『大鉄人17』はどうなるのか。『ロボ』のパクリ、と言われてもしかたがないぞ。しかも稚拙な。
こういうのを典型的な「シロウトの脚本」というのだ。外形だけなぞって魂がこもってないっていうことだね。脚本の根本歳三、『キカイダー01』に続いての脚本で、多分これ以前に脚本経験はない。なぜよりによって『009』にシロウトを使うのよ。義理かコネか?
……せめて構成の大西信介がダメ出ししててくれたらと思う。それとも、それもできないくらい、スケジュールが押してたのかなあ。あとはDVD化する時に作画に手を入れてもちっと面白くしてほしいと思うけれど、最悪ってほどじゃなし、中途半端にまあまあの動きだからほったらかされる可能性も大きいかな。
やれやれである。
「放浪編」はもういいから、いい加減で「ベトナム編」に行ってくれ。
しげの帰宅を待って、また「めしや丼」で食事。
前回と同じく「鶏鍋」を注文する。一旦気に入ったら、同じものをしばらく食べつづけるのが私のクセなんだが、これは栄養が偏る原因にもなる。でも鶏鍋は野菜も入ってるし、それほど偏食ってことにはならんだろう。
それでもちょっと味が濃いかな、と思って肉をしげに分けてやる。
いつものように、しげは「いいと? 肉が減るよ?」と聞くが、分ければ減るのは当たり前だ。それとも肉がほしくはないのか。
「食べ物にだけはアンタ、優しいね」
「だけはってなんだ。なんでもオレは優しいよ」
「……他の人に聞いてみてん、アンタが優しいかどうか」
「みんな言うよ、オレが優しいことに、しげだけが気づいてないって」
「それはアンタが、オレ以外の人間に優しいってことやろ?」
……肉をもらったってのに、どうして浮気者扱いされなきゃならんのかなあ。
夜、何気なくテレビを見ていると、外国人の女性が、高座に上がって落語を演じている。しかも全部英語で、所々に「ソウゼンジ」とか「アダウチ」とかいう単語が混じる。
なんだなんだ、と番組表を見ると、『NNNドキュメント'02 新春企画 RAKUGOでGO! 英国人女性・ ダイアンが行く』 という番組だとわかった。
女性は、大阪の下町で暮らすイギリス人のダイアンさんで、自分で着物も作り、華道と茶道の師範を持っているとか。
で、彼女は落語を英語圏の人にも知ってほしいと、年末にロンドンで開かれた「日本フェスティバル」に出演しているところなのだ。ダイアンさんの演目は、彼女をこの世界に導いた故・桂枝雀の『宿屋仇』。
ううん、この落語は聞いたことがないぞ。もちろん、英語で聞いていても、間の取り方の悪さは伝わっちゃうし、実際その場の観客が感心しながら見てはいても笑っちゃいないんで、ウケてないんだなあ、ということはわかるが、こういう人がいるのは嬉しい。
「落語が外人にわかるかよ」という意見もあろう。異文化を簡単に移植などできないというのもわかる。確かにそうかもしれないが、だったら、海外からの移植分化で作られてきた日本文化自体を否定することになりはすまいか。
初めは模倣、練られてオリジナル、ということは将来的に充分考えられることだ。スタンダップコメディに対するシッティング・コメディってのが英語圏に生まれたっていいんじゃないかなあ。
別に「日本」が世界共通の言語になることを望んでいるんじゃなくて、新しい文化が生まれることを期待したいんである。
……それはそれとして、桂枝雀全集のCD、ほしいんだけれど、映像がついてないってのがネックなんである。これがDVDだったら揃えたいんだが……って、だからそんなもん買うカネなんてないってば。
マンガ、『西岸良平名作集 蜃気郎』1巻(双葉社・300円)。
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01月06日(日)
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