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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■夢診断/映画『耳に残るは君の歌声』/『冬の角川アニメ』/『蛇神さまといっしょ』1巻(桑田乃梨子)ほか
 第2次大戦期、ロシア系ユダヤ人であるために、名前を奪われ、歌うことを奪われた少女フィゲレの、生き分れた父に再会するまでの物語……と、あらすじだけ書いちゃうと、今までにこれと似たような題材の映画やドラマは腐るほどあるわけで、何か今更だなあという印象である。
 けど、じゃあなんで見に来たかというと、主演女優があの、クリスティーナ・リッチなのである!
 故・淀川長治風に言えば、「はい、おわかりですか、このヒロインのお嬢さん、どこかで見たことありますねえ、かわいらしいですねえ、まあ、あの『アダムス・ファミリー』のウェンズディ、ウェンズディが、こんなに大きくなっちゃったんですねえ」てな感じなんである。
 『アダムス』のころから、「役柄を掴む」ことが抜群にうまかったリッチ嬢であるが、今回もその抑制の利いた演技を見ているだけで、「映画」を見ている感覚に浸れるから不思議だ。
 まあ、私は、女優さんは額が広くて、眉と目の間が狭い、童顔だけれどもちょっとケンがあるってタイプの顔が好きなんで、リッチ嬢、まさしくそこんとこに敵中しちゃってるもんだから、映画の出来は二の次でついつい評価が甘くなっちゃうんだけれども。
 いや、でも映画の出来が悪いってことは決してない。
 画面ごとの描写が実にしっかりして落ちついていて、破綻がない。キャラクターの行動もいちいち納得がいくのだ。

 例えば、自分になびこうとしないフィゲレに腹を立てたオペラ歌手ダンテが、フィゲレがユダヤ人であることをドイツ将校に伝えるシーンがある。
 ダンテの車の前に立っているドイツ将校が、フィゲレを見て「知り合いか?」と聞く。
 車の中には、ダンテの恋人、ローラがいる。ローラはフィゲレの親友でもある。そして、ダンテがフィゲレにも言い寄っていることを知らない。
 ダンテはしばらく言いよどむ。
 車から少し離れ、しかしローラにも聞こえるハッキリした声で「ジプシーたちと仲がいいが、彼女自身は違う」と言う。
 次の言葉が出て来ないので、ダンテを見る将校。
 更に間を置いて、車に背を向ける。そして静かに、つぶやくように言う。
 「ユダヤ人だ」
 そして、車中のローラの顔が蒼白になる。
 つまり、ダメな演出と、そうでない演出との差がどこにあるかっていうと、この「間」なのだね。
 ダンテをただの悪役にするのなら、この「間」は要らない。
 彼を激昂させ、卑屈な表情でチクらせて、ユダのように金をもらう演出をすればいいのである。
 しかしこの逡巡の間は、自らがユダになることを自覚したダンテの苦しみと、ローラとの決別を覚悟した間の両方を表現している。こういう細かい演出、ハリウッドのエセエンタテインメント作品には見られないんだよねえ。
 最初、私は勘違いしてて、「これ、ホントにハリウッドで作ったのかなあ」なんて考えてたんだけど、全然違ってて、英仏合作映画だったのだ。

 劇中、オペラ曲を初めとして、いくつもの歌が流れるが、残念ながら全てプロの歌手による吹き替え。クリスティーナ・リッチ本人の声は聞けない。
 それは仕方ないんだけど、しげは「生まれて初めて『暗い日曜日』が聞けた。別に聞いただけで自殺したくなる歌じゃないね」と喜んでいた。……いや、ちょっと興味の持ち方、違ってないか(^_^;)。いい曲だぞ、これは。


 キャナルシティに回って、食事をしようと思ったけれど、今月オープンしたばかりのラーメンスタジアムは長蛇の列で入れない。
 福家書店を回って、「ラ・ブーン」のリンガー・ハットでちゃんぽんを食べる。しげが社内割引券を持っているので、ちょっとした節約にはなる。
 この程度でも年末で出物が多い時期には助かるのだ。


 映画『冬の角川アニメスペシャル』。
 半分の2本は短編とは言え、4本立てとは往年の『東映まんが祭り』を髣髴とさせる。けど中身は完全にオタク向けだけど。 

 『あずまんが大王』。
 5分ほどだがよく動いている。
 動きすぎてるせいで、間が詰まりすぎてて、笑えない。……やっぱ、10分は要るでしょ。

 『デ・ジ・キャラット 星の旅』。

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12月22日(土)
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