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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■気がついたら食ってばかり/映画『カウボーイビバップ 天国の扉』
 今日はオヤジの誕生日。もう今更トシのことは言われたくはなかろうし、本人もしょっちゅう「老い先短い」などと言ってはいるが、実はあと10年生きたって、平均寿命には届かないのだ。
 父のことをこういうときに独善的だなあと感じるのは、70歳、80歳になっている人のことを思いやっていないからだろう。たとえあと何年かしか生きられないとしても、今どう生きるかってことを誰だって考えているのに。

 父へのプレゼントは、さっき博多駅の地下の怪しげな店で買ったディスプレイ・ライト。
 しげがプレゼントを選ぶときは、何週間も前から天神やキャナルなど、色々な店を回って、めぼしいモノにいくつかアタリをつけ、私に「どれがいいかなあ」なんて相談して、店から店へと引っ張りまわし、そうしておいて「買うのはもうちょっと後でね」なんて言いやがって、誕生日の直前になってようやく買うという、むちゃくちゃな手間をかける。
 それが私の場合は時間が殆ど30分とかからない。
 情がないと言われりゃそれまでだが、プレゼントなんて、相手が喜ぶかどうかも解らないものを押しつけるのだから、あまり深く考えたってしょうがないと思っちゃうのである。
 ついでに、小さなコーラの瓶に入ったアロマテラピー(要するに芳香剤じゃねえか)がおもしろかったので買う。これはトイレでフタ開けときゃいいか。

 店でプレゼントを手渡すと、父、封も空けずに喜ぶ。
 「ああ、お前にも渡すもんがあるけん」
 と言って父が持ってきたもの。
 「北海道もぎたてとうきびチョコ」。
 「……なに、これ(・・;)」
 「こないだ北海道に行って来たったい」
 ……行って来たって……いつの間に。人が知らんうちに、ホントにあっちこっちで遊んでやがるよなあ。先日会ったのが15日で……一週間しか経ってないっちゅーのに。
 

 昼飯、博多駅交通センター8階の「大韓苑」で焼き肉。
 もちろん「焼肉が食いたい」と言ったのはしげである。たいていの焼肉屋、ロースやカルビが中心になっているものだが、この店のメインはハラミ。
 カルビよりも柔らか味があって美味いが、赤身だったら並でも特上でも文句ナシのしげに区別がついてる様子はない。
 ……美味しいものの店を食べ歩きするってのも結婚前の夢だったんだけどなあ。肉でさえあれば後はどうだっていいんだもんなあ。ぐすぐす。


 映画『カウボーイビバップ 天国の扉』。
 テレビシリーズはその世界観、キャラクターの魅力、各話のバラエティーさ、ディテールに至るまで、ここまでのクォリティがよくぞテレビで、と言いたくなるほどの傑作だった。
 それの映画版でっせ、期待はしようってもんじゃないの。
 なのに出来がねえ……。
 いや、作画は最高ですよ。多分、今の日本の、というより世界のアニメのトップレベルにあると言ってもいいくらい。
 けど、ストーリーがあまりに陳腐。
 『機動警察パトレイバー2』プラス『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』プラス『アヴァロン』÷3ってとこかなあ。今回の主要キャラのヴィンセント、『パト2』の柘植のパクリだって言われてもしかたないくらい設定が似てるぞ。
 ナノマシーンの実験台に使われ、記憶を失った男の復讐劇ってのがストーリーの骨子だけど、それだけだとSFにする意味があまりないんだよなあ。普通のテロものじゃん。
 パンフのインタビューで監督、「テレビシリーズを見ていない人にも解る話作りを」って言ってるけど、結局テレビの番外編にしかなってないじゃんか。「映画を作る」ってことの意味が肝心なところでわかってないんじゃないかなあ。
 キャラクターの、特に主役のスパイクの目的意識が充分に描かれていないから、読者はなかなか感情移入できない。だいたい、テレビの最終話まで見ないと、初めて見る人にはなぜスパイクがあそこまで事件に関わっていくのか理解不能じゃないかよう。
 ただの賞金稼ぎなら、テロを前にすればケツ捲って逃げるはずだし、「借りを返す」って、言ってるけど、何がどう借りなんだ? 全く説得力に欠ける。
 やっぱり、スパイクはいつだって死にたがってたのだ。

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09月22日(土)
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