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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■変わるわよ♪ ……何がだよ/アニメ『こみっくパーティー』第1話ほか
 攫ったはいいものの、扱いかねて放り出した、というのが真相に近いところだろうが、そういう犯人の杜撰な計画、アタマの悪さというのが前面に出ていて、「凶悪犯」「知能犯」のイメージからはほど遠くなっているのだ。
 つまり、「情けない」「アホな」犯人像っていう印象が強いせいで、マスコミは怒りの矛先を持って行きにくくなってるのじゃなかろうか。
 先に捕まった藤田容疑者同様、こいつも美少女アニメオタクなんだろうが、そのことをやたら取り上げて「アニメと現実の区別がつかなくなって」という定番かつ陳腐な言質で批評した気になってるバカコメンテーターが続出してるのも、他にこいつらを責めたてる要因を見つけられないから、しかたなくやってることなんじゃないかな。
 トチ狂ったニュースを毎日見せられるのも飽き飽きなので、犯人が捕まってくれてよかったよかった。これで続報もそのうち消えるでしょ。
 ……それにしても、逮捕時には作業員をやってたっていう話だけど、履歴書も身分証明もなくて身元保証人もいないってのに、その会社もよく雇ったよな。
 過去は一切不問ってのも偏見のないコトで素晴らしいのかもしれないけれど、最低限でも身分証明になる何かを提示させるくらいのことはしておかないといかんと思うがね。
 

 晩飯は餃子を焼いて食べる。
 しげにも半分分けてやるが、「どうしてくれるの?」と、とまどっている。
 自分のメシは自分で作れ、と言っているから、まさか何か作ってもらえるとは思ってなかったらしい。
 気まぐれであるが、考えてみたら、私が気まぐれでしげに優しくすることはあっても、しげが私に気まぐれで優しくすることはないのだ。
 自分でも、どうしてこんなやつと一緒に暮らせているのかと確かに疑問に思うことはある。どこかに功利的な判断があるんじゃないかなあ、とは思うが、世間体を気にしてるわけでもないしなあ。
 実はバカが好きなんだとは思いたくないが、ちょっとはあるかもしれない。
 いや、私はだいたいしげのことを本気でバカだと思っているのだろうか?
 この日記でも、しげのことを百万遍、バカだバカだと書いているのだが、なぜそこまで書くのかと言われれば、確かに自分でもしげのことを一生懸命バカだと思いこもうとしているフシがある。
 では本当はしげはバカではないのかと言うと、やっぱりどう考えてもバカなのである。

 先日、しげから突然、「人って変わるの?」と聞かれた。
 「変わるさ」と即答する。当たり前のことをなぜいきなり聞くかな、と思って「なんで?」と聞き返す。
 しげは直接私の質問には答えず、「性格って、変えようと思って変えられるの?」と、質問し返してくる。
 ああ、私がしょっちゅうしげに「バカを治せ。その忘れっぽい性格を変えろ」と言うものだから、そんなことが可能なのか、と考えていたようだ。
 「変えられるさ」
 「アンタも変えた?」
 「変えたよ。環境が変わるたびに、性格何度も変えてきたよ」
 「じゃあ、自然に性格が変わるってことはないの?」
 「そりゃあるだろう。トシを取って、体が動かなくなりゃ、心が穏やかになることもあるし」
 「……確かに、アンタ、変わったね」
 「そうか?」
 「昔に比べて優しくなった。昔ほど怖くないし」
 なんとなく苦笑いを浮かべただけで、それ以上返事はしなかった。
 ……なるほど、自分でもトシを取ったのだな、と思う。
 以前ならここで「人をトシ寄り扱いするな!」と怒ってただろうから。
 でも私はともかく、しげが更に穏やかになったら、バカが加速するだけなんじゃないのか。

 なんだかよくわからなくなってきたので、この辺でやめるが、誰か、なんであんなやつと十年も夫婦でいられているのか、説明してください。 


 バカからバカにされると腹が立つと言うが、しげはしげのクセして私を時々バカにする。でも別に腹は立たない。
 あそこまでバカだとかえって「よしよし、バカがまた何か言ってるね」で済ましちゃうからだろう。

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09月03日(月)
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