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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■オタクの花道/同人誌『オトナ帝国の興亡』ほか
うわあ、山本弘さんからの『オトナ帝国』同人誌だぁ!
届いた日付を見ると、17日。この間しげが見舞いに来たのは18日……。隠してやがったな、しげのアホウが。みんなに買ってもらったらその代金、しげの小遣いにしてやろうと思ってたけど、もうやめた。
今更また怒る気力もなかったし、ともかく現物を見てみたかったので、早速袋を開けて中を見る。
表紙は防衛隊のコスプレをしたしんちゃんとひまちゃん、そのバックにオトナ帝国を象徴するかのような太陽の塔っぽい影。そして万博の写真のコラージュ。絵は眠田直さん、やっぱりセンスがいいよなあ。
タイトルは『オトナ帝国の興亡』。ページをめくるといきなリあずまきよひこの絵が……って、ああ、こりゃ山本弘さんのパロディマンガだ。……そうかあ、ちよちゃんも『オトナ帝国』見て泣いたのか。って視点が違うな。
目次を見てみると、参加者はみな「オタクアミーゴス/裏モノ会議室」の常連さんばかりだが、意外と数が少ない。唐沢俊一さんが参加表明されていながら寄港されていないのはお父上のご逝去があったとは言え、残念である。
シュミ特(懐かしい響き!)の『オトナ帝国大辞典』、こんなに参加者が少ないんだったら、もっとネタを送っときゃよかったと後悔。どうせ誰かが書くだろうなと思ってたから、書かなかったネタは多いのだ。「ケレル」とか「よしだたくろう」とか、誰も書いてないとは思いもしなかった(ボツになった項目は掲示板のほうに書いてますのでご参照下さい)。こうたろうくんに「銀玉鉄砲のあたりは『ガントレット』だよ」と元ネタ教えてもらってたのもあったのになあ。
「ネギ」のネタも、原作でしんちゃんがシロにネギをやるネタがあって、それを踏まえてのギャグなんだけど、そこまで指摘されていない。どうも参加者のみなさん、原作までフォローしてるわけじゃなさそうなのだ。やっぱり「オトナが見るもんじゃない」と今まで思ってたとしたらもったいない話である。
巻頭の評論はエロの冒険者さん。初めは同人誌に参加されることを躊躇されていたけれど、どうしてどうして、巻頭を飾るに相応しいパロディ評論だった。
前半は子どもの作文調で書かれているのだけれど、そのスタイル自体が、あの映画を楽しむ目がオトナとコドモとでは乖離していることを表している。ああ、この手があったなあ、と思うとちょっと悔しい。オチが困惑した先生の投げ遣りな感想と言うのもうまい。
後半は、熊さんとご隠居の会話風、語り口は面白いのだが、いろんな感想を詰め込みすぎて、やや論点がボケた印象があるのが惜しかった。
と言うか、「チャコが実は不治の病なんじゃないか」とか、「チャコは病気のせいで家族から邪険にされていて家族というものを憎んでいた」って設定、せっかくそういうのを思いついたのなら、それでコントのシナリオを一本書いたほうがずっと面白くなったと思うのだ。
それでも、ほかの参加者の方々には悪いが、エロさんの評論が頭一つ抜き出ていることは事実なのである。ミもフタもないこと言っちゃうと、ほかの方々の評論、結局は「ああ、そう、アナタはそう思うわけね。よかったよかった」で終わっちゃうものなのだ。それはほかの方々の意見がつまらない、ということではなく、「評論」という形式自体、もともと読者に訴えかける力が弱いからにほかならない。
同人誌の大半がつまらないのは、世界が閉じているからである。原典を知らないと分らないのでは読者は退屈するばかりだ。パロディという形式が有効なのは、原典を知らなくても楽しめるからだ。言いかえれば、原典を知らないと楽しめないパロディは、パロディとしては不完全である(もちろん、知っていればもっと楽しめる)。
……なんだかなあ、ネタがかぶる可能性はあるんだから、もう少しバラエティに富んだ語り口で、例えば『オタク学入門』のように、作画的な側面、科学的な側面で図解するものがあったりとか、あってもよかったんじゃないかと思うんだけどねえ。
さすがに山本弘さんは、具体的なセリフとシーンのやりとりの組み合わせを提示して、『オトナ帝国』のホラーな側面を浮きあがらせる評論を書かれている。そう言った「具体性」がないと、読むほうはキツイのだよねえ。
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08月22日(水)
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