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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■復活日記(笑)1・加筆もあるでよ/村上春樹『約束された場所で』ほか
まず入院の説明を歌穂ちゃん(いや、名前を勝手に書くわけにゃいかないから便宜上ね)から受ける。
やたらとパンフレットの類をもらうが、「お金がかかりますから、食品交換表とか、お持ちの本がありましたら、それをお使いになったほうが……」と言われる。でもどうせしげに連絡しても「食品交換表なんてどこに行ったか分らない」と言われるのがオチだからなあ(実際、その通りだった。役立たずめ)。仕方なく全部買うことにする。これも入院費に加算されちゃうんだなあ。
食事の時間は朝8時、昼12時、夕方6時。
風呂は男が月・水・金の午後。でも運動療法の後ならシャワーを使っていいとか。けれど一度に入浴できるのは二人まで。
「ちょっと使いづらいと思いますけど、すみません」
いやもう、歌穂ちゃん、そんなに謝らなくっても大丈夫(やに下がってるんじゃないよ)。
テレビはカード式。1000円で1200分映る。
飲みものは自販機で買い、待ち合いの共同冷蔵庫に入れておくこと。もちろんジュースなどは御法度。……なら、置いておかないでほしいなあ。
トイレは男女兼用。
尿の検査の仕方を教わるが、以前入院していた病院では、透明な袋に尿を溜めてたのだけれど、今度の病院では、なにやらメカの中に尿を流し込むようになっている。
ボタンを押すと、メカのフタが「ふなあっ」と開いて(いやホント、こういう音がするのよ)、「尿ヲ、オ入レ下サイ」と女性のアナウンス。検査が終わると、「検査ガ終ワリマシタ」。
こ、これはアナライザー!
いやあ、医学も科学も進歩するもんだなや。
でも尿糖の試験紙は節約のために四分の一に短冊切りされていた。……ケチくさいなあ。
歌穂ちゃん、最後に「何か困ったことがあったらナースコールしてくださいね」と言ってくれる。
いやそんな、歌穂ちゃんの仕事を増やすようなことがどうしてできましょうや。ああ、でもナースコールに「どうしたんですか?」って、歌穂ちゃんが来てくれることを考えると、その誘惑に果たして耐えられるかどうか……(中年がなにぶってんだよ気持ち悪いな)。
ようやく病室の方々が戻ってこられる。
歌穂ちゃんが「イビキをかくような人はいないと思いますから」と言ってたがどうだかなあ。
当たり前だがみなさんご年配の方々ばかり。お向かいの方だけややお若くて(それでも40歳くらいか)、私と同時に入院されたようだが、既に壊疽になってしまわれたのだろう、両足を切断されて車椅子で移動されている。
もっとも、その辺の様子はカーテンで仕切りをしていたので、気配で察するのみ。どなたとも特に挨拶は交わさない。
随分愛想がないと言われてしまうかもしれないが、あまり同室の人とは親しくならないほうがいいと言うのは、今までの入院から実感した経験則なのである。何かトラブルがあった時にお互い気まずくなっちゃうし、下手をしたら部屋を替わらなければならなくなったりもするのだ。
以前、入院したときにワープロを持ちこんだら、同室の人から「音がうるさい」と苦情を言われたことがあった。もう今回はワープロどころかMDプレーヤーも持ちこんできてはいない。テレビも極力控えるつもりである。それでもトラブルが起きる時は起きる。
病院の中だってストレスなしってわけにはいかないのだ。お互い、病人同士なんだから思いやりあえればってのは幻想なんだよね。カラダの痛みを代わってあげられないように、ココロの痛みだって自分の分しか考えられないのがフツーなのよ。
寂しいなあ。
午前中はほぼ検査。
採血されたり心電図取られたりレントゲン撮られたり。
検尿を頼まれたが、どういうわけか、いくら気張っても全然ひとしずくも出やしない。いつもは頻尿でトイレに駆けこむことだって多いってえのに。
やっぱり緊張してるのかなあ。
いったんレントゲンを撮ったあと、「もう一度撮り直しますから」と言われる。
はて、息の吸い方が足りなかったか、はたまた息を止めそこなったか、と思っていると、技師の方、「いや、肉が意外と分厚かったんで」。
「肉」ってなんだよ、「肉」って。
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08月06日(月)
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