ID:10788
無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
[491762hit]

■子供の命は地球より軽い/映画『ハンニバル』
 シリーズ3作目、と言っても、第1作の『刑事グラハム 凍りついた殺意』(ビデオタイトルは『レッド・ドラゴン レクター博士の沈黙』というミもフタもないもの)なんて、誰も知らないよな。
 レクター博士役はブライアン・コックス。痩せた、細長い顔で、アンソニー・ホプキンスのレクターのイメージが定着した今となっては、ただのバチモンにしか見えない。
 それを思うと、今回のジュリアン・ムーアのクラリス・スターリング、前作『羊たちの沈黙』のジョディ・フォスターに負けず劣らずの熱演だ。「ジョディじゃなきゃやっぱダメ」ってファンはいるだろうが、少なくとも「どっちがいいか?」論争に発展するくらいのものにはなっている。
 ストーリーは前作までにあったミステリー的要素はほぼ消えて、レクター博士とそのかつての被害者メイスン・ヴァージャーとの対決に終始している。
 犯罪者とは言えレクター博士、こういう対決ものの図式の中では敵のほうが明らかに「悪」として行動するから、どうしたってヒーローになっちまう。クラリスとの関係は『春琴抄』以上の愛を描いたと言えなくもないし。
 でも本当にダークなキャラクターを際立たせるためには、やはりクラリスがレクターを追いかける関係をもっと前面に出したほうがよかったかも、とは思うのだ。ラスト近く、ヴァージャーに捉えられたレクターをクラリスが助け出すんだけど、この「助けられる」ことを期待してレクターめ、ワザととっつかまった嫌いがある。
 でもそうやって「女に甘える」ってえと、キャラとしては弱くなっちゃうんだなあ。結局自力じゃ逃げられないってことだし。
 でもその辺は瑕瑾だ。
 全体としては十分満足できる出来だったと言える。……ちょっとテンポがタルくて眠くなるけど(^_^;)。
 
 あともう一つ、特筆すべきは、このヴァージャー役がゲイリー・オールドマンだったってこと。おいおい、そんなん、事前情報にもなかったぞ。
 レクターとのかつての関係の中で顔の皮を剥ぎ取られた、という設定だけど、そのメイクが生々しくて、ラストのスタッフロール見るまでゲイリーだとは気付きもしなかった。もうこのゲイリーの狂気の演技が見られただけでもこの映画、損はない。
 残酷描写の一つと判断されたか、パンフじゃ一部のインタビューを除いてゲイリーの名前もスチールも一切カットされてるけど、せめてキャスト紹介の解説くらいはするべきじゃないのかなあ。

 帰宅した途端、しげが「お茶がない!」と騒ぎ出す。
 自分で冷蔵庫を探そうともしないで私を責めるのでまた口ゲンカ。で、結局またヒス起こしてごめんなさいとしげが謝って終わり。
 おかげで夜の散歩に行き損ねた。下らんことで喚きたてるそのクセ、ホントにどうにかしてほしいもんだ。
 草臥れてそのまま落ちるように眠る。

06月08日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る