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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■地上の星々/『狼には気をつけて』2巻(遠藤淑子)
 この余りにもストレートなベタなセリフを言わせちゃったら、物語は終わるしかない。でも遠藤さんのマンガってのは、この「たった一言」を言うまで、2巻、3巻と心がつながりそうでつながらない関係をキャラクターどうしに続けさせるところにあるのだ。しかも毎回そのカップルってのが「姫と家来」とか「女主人と使用人」とか、恋に障碍のある間柄ばかりだからなあ。
 今回も「社長令嬢とボディガードの探偵」というカップリングだけど、今、二人に関係が出来たら、相手は子供だし探偵フォレストくんは犯罪者だぞ。危ないなあ(^_^;)。


 昼は鼻の調子が悪いので休んでいたが、夜になって、さて、運動をしに出かけようかというころになって、なんとなく勘が働いてグズグズしていると、10時ごろになって、鈴邑くんからいきなり電話がかかってくる。
 たまにこういう勘があたることもあるが、日頃はまあ8割はハズレているので、私が霊能力者として商売をするのは無理なようである。
 (そう言えば、昨日だったか、久しぶりにテレビで北條きく子を見たな。誰か覚えてる人いる? 今や「北條霊峰」とか仰々しく名乗っていて、いかにも昔からの霊能力者でございってな顔してたが、もと女優ってことを隠さにゃならんところが眉唾なんだよなあ)

 電話で応対していたのはしげなのだが、結構な長電話の後、受話器を置くなり、
 「今から鈴邑さんの車でドライブに行くよ」
 「はあ?」
 何だかよく分らないうちに出かける準備をさせられ(と言っても私は運動をせねばならぬのでジャージだ)、マンションの玄関で待つ。
 「どこへ行くんだよ」
 「車に乗れるのが楽しいんだから、目的地はどこでもいいの」
 お前はそうかもしれんが、私はどこへ行くのか知らんと不安になるほうなんだよ。
 ほどなく鈴邑、愛上夫妻到着。ふなちゃんは後ろのチャイルドシートでウトウトしている。もう体重が10キロだとか。10ヶ月で10キロってのは重いんじゃないか、と言ったら、生後17ヶ月の子供並なのだそうな。いいのか、そんなに重くなって。鈴邑君も愛上さんもスレンダーなのにどうして娘がこんなに大きくなるのか。次に会うときは車の天井突き抜けてやしないだろうな。

 車でどこに向かうのかと思ったら、油山であった。福岡近郊の山で、小学校のころの遠足で六年間通いつめた山である。
 「このあいだしげさんと昼間来たんですけど、今日は夜景を見ようと思って」
 しげのやつ、いつの間にそんなことしてたのか。意外と夫にヒミツがあるやつである。

 車で登るのは初めてだなあ、と思っていたら、山道の途中から突然の渋滞。土曜の夜に、こんなに夜景を見に来るやつがいるとはなあ。よっぽど金がないのか。
 前の車のナンバーを見ると、大分である。
 思わず私が「大分くんだりから何故来るかね」と言ったら、鈴邑君、
 「あれはメル友で知り合った二人ですね。今日初めて会って、意気投合して、じゃあどこへ行こうか、じゃあ福岡のきれいな夜景を見せようってことになって、のこのこ女が付いて来てるとこですよ」と言う。
 うーむ、設定が細かい。
 「ホラホラ、くっついてるくっついてる」
 なるほど、前を見ると運転席のとこの影がピッタリくっついている。ちょっとムカッと来たので、
 「あれは殺られるな。いや、もうあいつは一人殺ってる。後部座席には死体があるのだ」
 などと不謹慎なことを言う。今はちょっとこの手の冗談を言うのはタイミングが悪いか。

 ようやく山頂に到着、狭い駐車場は満杯で、警察が交通整理をしている。反対車線を逆走して登ってくるバカな車が追い返されて行くのを見ていいキミだとほくそ笑みつつ、下車。寝ていたふなちゃんを起こして連れ出さねばならないのがちょっとかわいそうだが、車内に置きっぱなしってわけにゃいかないものな。
 夜景は福岡市がほぼ一望できて、とてもきれいなのだが(と言っても私の視力では福岡タワーしか分らん)、ともすると愛上さんがふなちゃんを手すりから上に抱えて景色を見せようとするので、落っことしやしないかとハラハラする。母親だからそんなことはないんだろうけど、私はそんなところが妙に心配性なのである。

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05月19日(土)
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