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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■病気で寝ててたいして書く事ないはずなのに(^_^;)/『死神の惑星』1・2巻(明智抄)
泣かないどころか白けちゃった、という感想で、理由は「なつかしさ」を喚起するためのガジェットが表面的ななぞりに過ぎない、ケンとチャコの行動原理が分らない、などの不満によるもののようだ。
しかしこれは個人の感受性の差によるものなので、映画自体の欠陥というわけにはいかない。誤解を招かないようにもう一言付け加えておくと、感動できないのは受け手の感受性が劣っているというわけではなく(劣ってる人もいるけど)、人によって感激のツボが違う、ということであるのだ。
しげを引き合いに出すと、やたら怒られちゃうのだが、しげが『オトナ帝国』を見て泣かなかったのは、あいつが人非人だからではなく(人非人でないとも言わんが)、過去に郷愁を感じるにはまだまだ若い、ということである。別に悪いことでもなんでもないのだ。
しげはあくまで自分のことを「もうオトナだよ!」と主張するかもしれんが、いっぺんあいつと直に会話した後であれを「オトナだ」と実感する者はそうそうおるまい(^^)。
こんなことを言うと恥ずかしくなっちゃうのだが、あの映画は「守るべきもの」を持っている人間にとっては心にズシンと来る映画である。日頃、能天気なしげの顔を見てると、「こいつをいざってときには守ってやらなきゃならんのか」という気になることもあるが、あの映画を見た後だと、「こいつを守ってきてよかった」と思うし、「これからも守って行こう」という気にさせられるのである。まあ気持ちだけだけどね。
他のサイトも軒並み好評、唯一、朝日新聞の「アニマゲドン」だけが「後半シリアスでしんちゃんらしくない」と見当ハズれの批評をしているだけであった。ラストでケンとチャコの自殺を食い止めたのは、しんちゃんのおバカであるのにねえ。
マンガ、明智抄『死神の惑星』1、2巻読む。
頭がぽ〜っとした状態のまま読んでるので、設定がよくわからないのだが、未来の、宇宙の話らしい(^_^;)。
『サンプル・キティ』を読んだときにも思ったが、明智さんはマキャベリスティックな女性を描かせると抜群にうまい。対する男はたいていマザコン(^^)。
しかも必ずと言っていいほど明智さんはキャラクターの「過去」を掘り下げて描くが、これがただの回想シーンに堕することなく(『ONE PIECE』と比べるとその差は一目瞭然)、世界と人間との関わりについての深い洞察があることがよくわかる。
鈴木エリザベートのキャラクター造形は特に出色。生きられるはずのなかった子供、生まれて十数年を培養槽の中で過ごし、知能自体は成長していても、全く人の感情に触れることもなければ、社会の「ルール」を知ることもなく、現実を知覚せざるを得なくなった少女。
自然と彼女の模索する「生きるための方法」は、人間の感情も含めて「データ化」することに費やされた。喜怒哀楽ですら、彼女にとっては脳によってシミュレートされた思考パターンに過ぎない。でもそれゆえに人間の心がいかに欺瞞に満ちているかを、明智さんは鈴木エリザベートが政治家へと歩んでいく軌跡を辿りながら読者に提示していくのである。
……しげが明智さんにハマるのもわかる気がする。しげ自身、この鈴木エリザベートみたいな「感情をシミュレーションしないと生活できない」やつだからだ。もちっと社会のルールを覚えなさい。
05月09日(水)
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