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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■誰もいない海/『シイナのファブリオ▽』(がぁさん)ほか
残念なことに、世の中に「白髪抜き屋」という商売がないために、その道に進むことはかなわなかったが、いつか女房を娶ったら、そいつの白髪を存分に抜いてやろうと心に決めていたのである。……変態だなんて言うなよ。しいねちゃんの耳かき好きよりはマシだ。
しかし、結婚当初の女房はまだ若く、ただの一本も白髪がなかった。内心私は臍を噛んでいたのである(……今改めて気がついたが、女房って「幼な妻」だったんだなあ。全然、麻田ルミみたいな可憐な雰囲気ないけど)。それからひたすら待つこと十年、さすがに三十路が近いと少しは白髪も増えて来ようというもの。ついに私の悲願が成就する日が来たのだ。
とは言え、私に比べたらまるで目立たず、たまに黒髪の間からチラッと数本見える程度のものなのだが。
それでも髪を掻き分け探し出していくと、短い白髪が二、三十本は見つかる。
「もう私、年寄りなんだよう。ほっといてよう」と駄々をこねるのを無視して、一本一本抜いて行くと、「痛い、痛い」と悲鳴を上げる。白髪のクセに根深くって、見ると肉も一緒に取れている。そりゃ痛いよな。
「もう、あんた、わざと痛くしよろう?!」
ついにガマンしきれず、女房は布団を頭からかぶってしまった。
……しかし、あきらめることはない。なぜなら私は知っているからである。目の前にハラリと白髪が見えた時には、「抜いて!」と向こうから頼んでくるに違いないことを。
タコめしを炊いて作ったのだが、女房がまるで食べてくれない。女房の味ご飯嫌いも困ったものである。
仕方なく外に食事に誘う。
相談の末、以前から行こうと思っていた、先日オープンしたばかりの「インターネットカフェ」に行くことにする。
店は博多駅のバスセンターの8階、つまり紀伊國屋書店の上の、シネリーブルの更に上の階にあるのだが、インターネットつなぎ放題の、マンガ読み放題の、DVD見放題の、CD聞き放題の、ソフトドリンク飲み放題の、という夢のような喫茶店なのである。
基本料金が30分230円、15分延長ごとに90円追加、リクライニングシート席でも300円という、ワリに良心的な値段。食事もカレーやスパゲティが各480円、そう高くはない。結局ふたりで2時間半いて、2600円だった。
まだ開店したばかりなのでお世辞にもソフトが充実しているとは言い難いが、うまくするとこの店、結構繁盛するのではないか。
フリー席は安いだけあってやや狭い。ちょっと椅子によっかかると向かいの椅子にぷつかったり、横にどくと隣の人から敷居を立てられたり。見てみるとボックス席の方がゆったりできそうだったし、途中で席を代わってもいいと店員さんから言われはしたが、今日はイチゲンさんなので安いとこにしておいたのだ。……って、気取るほどのものでもないが。
入ってしばらくは『仮面ライダーアギト』のホームページを覗いたりする。
スパゲティと今川焼きを注文し、女房に分けてやるが、女房は「時間制なんだから、食べてたら時間がもったいないよ」と言って、なかなか食べない。でもどうにも腹が空いたらしく。結局私のスパゲティを半分食べる。
以下は、読んだマンガ。
ささやななえ『魂返の島』、この人の『ミノタウルス』はギャグとホラーがほどよく混じりあって好きなんだが、純粋な怪談ものだと、ちょっと落ちが弱くなるものが多い。
しかもこの話、諸星大二郎の稗田礼二郎シリーズの一編と、「死者の復活」という設定がよく似ているために(盗作ってことじゃなく、同じ伝承をモチーフにしてるせいなのだが)、どうしても諸星作品と比較してしまう。そうなると、出来の差は歴然としてしまうわけで、ささやさんのほうが見劣りしてしまうのは仕方がない。特に、ラストをハッピーエンドにしたのは無理があった。
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02月25日(日)
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