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無責任賛歌
by 藤原敬之(ふじわら・けいし)
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■明日寂しい思いをする人は読まないで下さい/『コロンブスの航海』(J.P.チェゼラーニ)ほか
いや、川端康成がヘンタイであるという話だ。それは作家としては全然悪いこっちゃない。変態と言うよりはっきり既知外と言った方が当たっている。『雪国』だって『古都』だって『山の音』だって、作者が幻聴幻視を起こしながらそのまんまのイメージで書いてんのよ。だからこそこの人の作品は小説も映画も海外の評価が高いのである。だって既知外の表現って、国の文化にとらわれない分、普遍性があるんだもの。
『コロンブスの航海』(ピエロ・ベントゥーラ絵 ジァン・パオロ・チェゼラーニ文 吉田悟郎訳)読む。みんなアメリカ風に「コロンブス」と発音してるが、当時のスペイン語の発音で本人が実際に喋っていたのは「コロン」、生まれ故郷のジェノバの発音なら「コロンボ」、この本の原題でも「コロンボ」と表記されている。まあこの辺の知識は有名か。
大型絵本の体裁なので、サンタ・マリア号の断面図なんかが描かれていて、本文よりそちらのほうに目が行く。船室は食料その他の荷物で手一杯で、船長のコロンブスの個室はあっても、船員部屋は全くない。90人からの船員はどうやって暮らしてたんだって、当然荷物の隙間を探して寝るのである。食料は長い航海の間で腐るものも多く、そうなると船の中は常に異臭が漂う状態になる。航海中何度も暴動が起こりそうになったということだが、そりゃそうだよな。
一行がアメリカに着いて、現地人の「ハンモック」を見て、「これなら船の上でも寝られる!」ということでコロンブス以降の航海には船の上にハンモックが吊られることになったそうである。タバコがインディアンの文化だったってのは知ってたけどハンモックもだったのね。
コロンブスは現地人に歓待されるが、その30年後にこのときの現地人は全て虐殺されることになる。恩を仇で返す、という感覚すらない。この時代の常識は「弱い者からは奪え」であるからだ。……今でも変わってないか(^_^;)。
世界各地の侵略と虐殺の歴史を紐解いていけば、侵略を行ったことのない民族など存在しないことに気づく。それらは結局、「別に当時は悪いことでもなかったんだから仕方ないじゃん」という「未必の故意」と判断すべきものであって、それを責めだしたらキリがないのだ。なのに、どこぞのお国は他国の侵略についてはギャーギャー非難するくせに、自分達の過去の侵略行為については目をつぶってやがるんだよな。
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仕事が長引いて帰宅が遅れる。しまった、『アルジュナ』録り損ねた。一時期沈滞気味だった「オタアミ会議室」が、このアニメのおかげで再び盛りあがってきているだけに見逃すまいと思っていたのになあ。エコロジーにかぶれた河森正治監督のコワレぶりが、往年の『マクロス』ファンにはイタくて仕方がないようだが、何を今更。ラブソングが宇宙人にカルチャーショックを起こさせるなんてアイデアを思いついた時点で既にイタイ人だったと思うがな。当時私は既に大学生だったが、『巨人の星』に突っ込み入れながら見るのと同じように、『マクロス』も笑って見てたぞ。高千穂遙が「ガキの恋愛描いてないでもっと大人になれよ」と言わずもがなの批評してたな。
しかし意外なことに、河森監督、これがテレビシリーズ初監督なのだそうな。そう言われれば、『マクロス』も『エスカフローネ』も原作・脚本で監督は別の人に任せていた。『KENJIの春』は監督だけれど単発である(あれもどこか頭のネジが一つ飛んじゃってるようなアニメだったなあ。猫じゃなくて人間でやれよ、『銀河鉄道の夜』と違って実録なんだからさ。妹のトシが妙に色っぽいのがかえって不自然だぞ)。
……だとしたら河森さんもまだまだ新人、あまり突っ込んだって仕方ない気もするがなあ。
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02月13日(火)
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