ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■『女性死神協会 会議中09』
『忙しい貴女へリラックスタイムを』



 朽木家母屋二階南東角部屋の奥にある隠し部屋の扉に、ひっそりと隠されるように物陰に貼られた紙には「女性死神協会本会ぎ場」と書かれていた。
「さて、みなさん!」
 女性死神教会会長であるやちるの声が本会ぎ場に響き渡る。
 堂々たるそのやちるの後ろでは、副会長である七緒が控えていた。
「久しぶりすぎて議題を忘れたよ!」
「元気に堂々誇らしげに言うことではありません!」
 七緒が眼鏡の位置をくくっと直しつつたしなめる。
「……まあ分からないでもないですが。皆様お忙しくて、前回の会議からかなり経ってしまいました。確認のために申し上げておきましょう。本日の議題は現在の皆様にぴったりです。仕事に忙殺され、自室に戻っても何もする気力もなく倒れこんで眠り、朝になるとふらふら起きてまた仕事。疲れのためか常に緊張がとけない。そんな女性死神の方からの、どうやったらこの緊張を解きほぐしてくつろげるのか、というご相談への回答を考えます。相談室への相談か悩みましたが、幾つかの提案を差し上げたほうが選択できて良いかと思いましたので。皆様のリラックス方法を教えてください」



「では、最初の方!」
「はいはーい。あたしの得意分野よ」
 七緒の声に乱菊が自信溢れる笑みを浮かべた。そして足元からずるりと一升瓶を取り出す。
「これしかないでしょ!」
「……あなたはそうかもしれませんね」
 細められた七緒の目を気にすることなく、乱菊は一升瓶に貼られているラベルを全員に見せるように向けた。
「これ! 一押しの純米酒なんだけどね、飲み干した後、芳醇な香りがふわぁってなるのよ。飲みやすいから女の子にもオススメできるし。あまり辛くないから大丈夫、全然いけるから! 今年の品評会で金賞確実だと思うのよねえ。これ飲んだだけで幸せ気分になってふんわりするし、ふわふわしたまま眠れること間違いなし! 最高にリラックスできるわよ」
「お酒に弱い人の場合、次の日は確実に二日酔いで最高に気分最悪ですね」
 七緒が大きく溜息をつく。
「まあ適度なお酒ということにしておきますが……乱菊さん、あなたもお忙しいのですから他にリラックス方法はないんですか」
「えっとー」
 乱菊は微笑んで小首を傾げる。
「……仕事をしないこと?」
「却下します!」



「では、次の方!」
「は、はい、私です」
 七緒の声に勇音がおずおずと手を挙げる。そして膝の上に置いてあった袋から、小さく四角形に折りたたまれた紙袋をいくつか取り出した。
「緊張した神経を解す効能のあるお茶を持ってきました。四番隊で栽培し、調合して効果をより引き出すようにしてあります。治療の補助として使用してきたものですが、このような相談もあることですし、一般へ公開することを考えています。まあ、販売という形になってしまいますが」
「まあ、とても良い案ではありませんか。こういうのを待っていたんです」
 賞賛の言葉に、勇音はほっとした顔をする。そして柔らかに微笑んだ。
「とりあえず、皆様には実験台になっていただきますね」
 全員が動きをぴたりと止めた。
 七緒が代表としてゆっくりと問う。
「……実験台、とは」
「これまでは入院患者さんの体質に合わせて調合して使用してきたんです。それを一般に販売するのですから薬効を弱めて、かつ効果もでるところに調整しなければなりません。まあ、皆様でしたらちょっと効きが悪いかもしれませんけど、大丈夫でしょう。最終的には四番隊で試験しますから……もちろん、お受け下さいますよね?」
 勇音の笑みはあくまで柔らかく優しげだった。
「…………十二番隊だけだと思ってたのに」



「では、次の方」
「うむ、私だな」
 七緒の声に砕蜂が鷹揚に頷く。そしてぱちんと指を鳴らした。
 直後、全身を黒い布で覆った刑軍と思われる数人に担ぎ上げられた巨漢が会議室に放り込まれた。
「なっ……大前田さん?」
 一歩引いた七緒が、床に転がされている巨漢に声をかける。ぐるぐる巻きにされたその体がごろりと仰向けになると、確かに大前田だった。

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03月03日(日)
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