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G*R
by K・カヲル
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■ぼくらはただそうやって世界を手にした 8
「これで想像しろ。できるだけ具体的に形を考えるんだ……といっても、この形になるとは限らないけどな」
「これだとボクには長いんやなかろか」
「短くなってくれって、お願いしてみろよ。脇差くらいならちょうどいいかもな」
ギンは目の前の刀をよく眺めた。ああでもやはり少し長い。ボクの刀はどんな感じなんやろ。ギンは右手に柄を握り、目を閉じて集中する。いつかの、男達を斬り殺した時を思い出す。確かにあのとき、右手に集めた霊力は刀のような形になっていた。あれか。ああなってくれればええんやろか。
右手に。右手に力を流していく。
そしてギンは呼びかける。ボクん刀、ボクん刀。ナリどんなんしてはるんや。奥へ奥へ、ギンは沈んでいく。
頭上の梢の葉がざわめきだした。
馬車のなかで着せ替え人形になっていた乱菊は、外で急にギンの霊圧が高まったのに驚いて、着替え途中であるにもかかわらずに急いで戸を開けた。女達が慌てて閉めようと手をかけたが、その手は途中で止まる。
乱菊は呆然としていた。
目の前でギンが霊圧を解放している。その嵐のような霊圧を放出しないで右手に収束させているので、そこから何か捩れるような震えるような音がしている。実際に空気はどうにかなっているのか、ギンの頭上の枝が激しく揺れて葉がばらばらと散っている。
用心棒の二人はギンから距離をとったようだが、その圧力に膝をついて、呆然として眺めている。
「アンタ達、何したのさ!」
女の一人が用心棒達に声を張り上げた。
「刀がほしいっていうから、作ってみろってやり方を教えただけだよ!」
「まさか、こんな霊圧だとは思わなかったんだよ!」
ギンは男達の声にも反応せずに、じっと立っていた。右手の霊力が細く長く長く伸びた形になり、生きているかのようにうねっている。乱菊は何も言わず、ギンの集中が終わるのを待った。
ギンは深い深いところに沈んでいた。ボクん刀、ここにはおらへんやろか。
呼びかけながらじっと探っていると、どことなく目の前に蜃気楼のようなものが現れる。形ははっきりとわからないが、ゆらゆらと揺れるそれは確かにギンに対して何かを伝えていた。
ああ、こんなんなんや。出てきてくれておおきに。これで出来るわ。
ギンは手を伸ばした。
がちん、と、大きく、何かがはまる音がして、霊圧が静まった。葉が舞い落ちるその下で、集中を解いたギンが自分の右手を覗き込む。
そこには確かに、鞘に納まった短い、脇差しと言ってもよさそうな刀が一振りあった。
「……や……ったやん!」
ギンが喜色満面という表情で馬車の方を振り返った。そこに乱菊の姿を見つけると、嬉しくて堪らないという顔で走ってくる。
「乱菊! できたで、ボクん刀! ほらほらこんなんや!」
馬車の扉のところに座り込んでいた乱菊の前まで来ると、ギンは誇らしげに刀を差しだした。手に取るとそれはずっしりと重く、豪奢ではないが高貴な、とても美しい形をしていた。そして何よりも、刀から出る凝縮された霊圧が強く鋭い。ギンの霊圧そのままの刀だ。
「……すっごーい! すごいよギン! きれーい!」
「やろ! やろ! これで枝集めも芋掘りも魚さばくんも楽なるで! 誰か襲ってきてもこれ見てびびって逃げてくわ!」
乱菊がほめたことにギンは嬉しくなって更に誇らしくなった。乱菊は刀を眺めて興奮したように顔を紅くしている。かわええなあ、と思ったところで、はたとギンは乱菊の格好に気が付いた。乱菊は下着とも言えるような格好ではしゃいでいる。
「……!……乱菊! あかん! あかんて! 乱菊入らなあかん!」
慌てて乱菊を押し込もうとすると、乱菊も自分の格好を思い出したのか言葉にならない声で叫ぶと、押しつけるように刀をギンに返して乱暴に戸を閉めた。中から、だから戸を閉めようとしたのにぃ、と言う踊り子の声がする。
「あかへんて……乱菊ぅ……」
疲れがどっと出て、ギンはその場にしゃがみ込む。すると後ろから、巨体の男がギンの肩を叩いた。
「おう、すごいじゃねえか。よかったな」
「……今の、見たんか?」
「あ? 見てたよ、すごいなお前の霊圧」
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01月19日(水)
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