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G*R
by K・カヲル
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■『女性死神協会 会議中02』
「フォンドュって、体温より高いくらいならちゃんと溶けてるんですね。だから、あの、自分の指とか、なんかにちょこっとかけて、……わたしを食べて、とかしてみ」
「無理せずそこでストップ!」
七緒が瞬時に勇音の前に立ち、両肩をがっしりと掴む。
「……どうして皆さんそう裏へ裏へと年齢制限が必要な作戦を立てるのでしょうか!?」
「あ、あの」
「いえ、いいんです。勇音さんに入れ知恵したのは誰だかくらいは察しがついていますからいいんですよ」
「え、言っとくけどあたしじゃないわよ」
乱菊が慌てて七緒に振り向いた。七緒が眼鏡をきらりと光らせる。
「もう一人、いるでしょうそういうことを言いそうな輩がもう一人四番隊に! 申し上げておきますが皆さん! 目的は口説くことであって、その先にあることではありませんから! 慌てず焦らず先走らずに! いいですね!」
「はい! 次の方!」
「うむ」
こめかみに青筋が浮かんだままの七緒に怯むこともなく、砕蜂が勢いよく立ち上がり、膝に置いていた濃紺の風呂敷包みを開いた。その中の箱を全員が覗き込み、驚きの声を上げた。箱の中には正方形のケーキが鎮座している。表面の艶は色気すら漂わせ、誘うようにとろりと光っている。切断面は美しい層になっており、柔らかそうなスポンジとチョコレート色のクリームが交互に重なっていた。砕蜂はどこからか暖めた包丁を取り出し、鮮やかな手つきでケーキを人数分に切り分けると小皿に取り分ける。それを手に渡されるまで全員が無言で見つめていた。
「オペラというケーキだ」
砕蜂が一言で説明を終わらせた。
「なんて綺麗な艶……!」
乱菊が溜息とともに呟く。
「あ、すごくおいしい……」
勇音が眼を閉じて囁くように言う。
ネムは黙々とケーキを口に運んでいる。一口一口、ゆっくりとしているので味わっているようだった。
やちるは一口で満面の笑みを浮かべた。
「すごーい! お店で売ってるものみたい!」
その言葉に七緒も頷く。
「本当に。これって作れるのですね……」
しみじみと呟いた七緒に、砕蜂はさらっと、
「うむ。大前田が初めてだと言いながら作っていたのだから、他の者でも作れるだろう」
と言った。全員の動きが止まった。
「……大前田?」
乱菊が全員を代表しておそるおそる尋ねる。砕蜂は大きく頷いた。
「そうだ。最初に私は、男を口説くならば見目もよく努力も感じられるケーキがよかろうと判断した。そして作成していたのだが、途中、慌てて大前田が調理室に飛び込んできてな、作成を中止しろとぬかしてきたのだ。確かに少々煙が出ていたので私もそれを承諾したが、別のケーキを考えねばならないだろう。そうすると大前田が、奴の実家のお抱え調理人に連絡し、なにやら作り方を聞いてきたので、それを作ってみた。多少、面倒だったが作れなくはないぞ」
「……え、でも、大前田さんが作られたのですよね、これ」
七緒もおそるおそる尋ねる。砕蜂はまたも大きく頷いた。
「うむ。私一人で作ろうとしたのだが、大前田が一緒に作るとぬかしたので仕方なく、それぞれが一つのケーキを作ることにした。奴もケーキを作るのは初めてだったらしいが、完成品を並べてみたところ奴の作った方が見目が良かったのでそちらを持ってきた」
「初めてでこんなにできちゃうんだ。すごいねー」
やちるは素直に感心している。その横で七緒がなぜかがっくりと肩を落としていた。乱菊が優しくその肩を叩く。
勇音はずっと黙っていたが、やがておずおずと口を開いた。
「あの……その大前田さんは今朝、四番隊に救急で運ばれてきたのですが…………」
砕蜂が、ああ、と勇音を見上げる。
「私が作った方を奴にやったら、青い顔をして一息に食べたかと思うやいなや倒れてな。全くなっておらん。ケーキ丸ごと一つ食べたくらいで腹をこわすとは」
全員が顔を見合わせて黙り込んだ。七緒が溜息をついて空になった皿を置く。
「……まあ、初心者でも作れるということですし。後で作り方を教えて下さい」
「はい! 次の方!」
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02月18日(月)
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