ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■05 後ろ指
「うむ。せめて、一緒に現世に連れて行きたかった。おぬしの開発した、あの義骸が知れてからの奴らの対応が想像以上に早かった。早すぎた。儂にまで監視の目が光っておったから、忍んでこっそり行くのがやっとじゃった。摘出は無理でも、せめてあの娘を連れて行かれれば、婆と爺は余生を瀞霊廷で心安く過ごせ、娘は我らと共に現世へ行き、何にも巻き込まれることもなく、何も知ることなく、人として生きられたのじゃがの」
「そして、崩玉の行方は完全にくらませれたんスけどね」
 二人は顔を見合わせ、苦笑した。
「儂らは、本当に罪深いな」
 夜一は静かに囁く。
「何も知らぬ娘に全てを隠しておきながら、その娘よりも崩玉のことを案じておるよ」
「そうっスよ。それでもアタシらは、崩玉をそのままにしておくわけにはいかないんです」
 浦原もまた、静かな声で答える。
「もう、現世で待ちましょう。あの子が死神となって現世にくる機会を、じっと。なに、そう簡単にはあの子に崩玉が隠れていることはばれません。アタシ達はずっと非常に厳しい状況にいますが、それでもそこまで間抜けじゃあなかったっスよ」
「あの娘が死神とならなければ?」
「それはそれで、ありがたいんスよ。そのまま尸魂界での生を終え、彼女の魂魄は洗浄されて新たな生を現世で受けて、そのまま沢山の魂魄の中に紛れ込みますから。ただ…………もしそうなっても、探し出すのに苦労するでしょうが、彼女の魂魄の行方を捜し出さないとならないっスね。どんなに時間がかかろうと崩玉を壊す手段を見つけて、崩玉を完全に壊してしまわないと……製作者の責任っスからねェ」
 浦原は軽く軽く、だが明るさを微塵も含まない声で言う。前を真っ直ぐに見据えた浦原の横顔は固く、それを眺めている夜一の顔も同様に固い。
「……そうじゃな」
 目を瞑り、夜一は小さく息を吐いた。
「儂らはそれをできるくらいには長生きするじゃろうからな」
 沈黙が二人の間に降りた。庭の木々が枝を揺らす音が急に大きく聞こえ始めた。葉擦れの音はさざ波のように大きくはないこの部屋を満たし始める。
 浦原が横目で夜一を見た。
「まずは、明日の夜、三人で駆け落ちしましょ」
 低く小さく囁かれたその声に揺れはどこにもなかった。夜一は無言で頷き、にやりと猫のように笑ってみせた。
 ざわめく葉擦れの音はまだ鳴りやまない。







 浦原さんと夜一さんの駆け落ち前夜です。この中に独自の設定がぎゅうぎゅうに詰め込まれています。詰め込みすぎて壊れそうなくらい。話の根底にあることについては(かなり乱雑ですが)考察を書いたので、考察設定ページをご覧頂ければと思います。
 喜夜の話は今のところ、05、25、27でして、凍結してある25に浦原さんと藍染さんの話があります。その話は現在、ちょっと考え直し中なのですが、この三つで浦原さんと夜一さんが逃走するまでの(このサイトなりに妄想してみた)出来事を簡単に書けていけたらと思っています。私にとって、この二人はカップルというよりも運命共同体のようです。
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11月05日(月)
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