ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■雲の向こうの遠雷が呟きさえも掻き消すから 1-1
「そうだよ。朽木隊長は君の新しい上司じゃないか。もしかしたら探しに行けって命令が下されるかもしれないしさ」
「あの人が公私混同するか?」
二人の会話を黙って聞いていた檜佐木がそう言って笑う。吉良も乱菊も笑った。
「ありえないわね」
「そうですねー」
阿散井はただ笑っている。そこに追加したお銚子と焼き鳥が運ばれてきた。大前田がその皿を受け取ると阿散井の前に置いた。
「いいから食え。副隊長は格段に忙しくなるぜ。忙しさに目を回している間にその件もなんとかなってるだろうよ。気にするな」
雛森もお銚子を手にとって阿散井に微笑んだ。
「そうだよ、阿散井君。それに、これまでだって数週間くらい連絡してこなかった人もいたもの。大丈夫だよ」
二人に立て続けにそう言われ、阿散井は慌てて顔の前で手を振る。
「いやだから、俺は、全く全然これっぽっちも心配もしてないって言ってんじゃねえか」
「はいはいはいはい全く全然これっぽっちも心配してないわよね」
目の前の乱菊はそう笑って阿散井の空の猪口を指さした。そこへ雛森がなみなみと酒をつぐ。
「ほら、飲みなさい」
「うっわ、俺、そろそろマジで副隊長の仕事覚えないとまずいんすけど」
「なら飲まないと。飲まないとやってられないよ」
零れそうな酒に慌てて猪口に口をつける阿散井に、雛森が楽しげに言う。
「先輩風吹かせてるな。雛森」
一気に酒をあおった阿散井がそう言うと、雛森はふふふと小さく笑った。
「だって先に副隊長になってるもの」
その雛森を横から乱菊は肘で突いた。
「でもあんたはお酒をあおらないとやってられない、なんてことないでしょ? あの優しい藍染隊長の下で働いてるんだから」
肘で突かれて雛森は笑いながら照れを隠すように身体を捩る。そうしていてもその顔はふにゃりと崩れた。
「そうだよなあ。雛森は何も言うことねえよな」
相好を崩した雛森を眺めていた大前田が呟く。
「酒でも飲まねえとやってられねえのは、俺と吉良の方だよなあ」
「あー…………大変そうっすね」
阿散井と檜佐木が引きつった笑いを浮かべた。吉良はただ酔って赤くなった目を細めて小さく笑う。
「まあ、僕はまあまあ言いたいことは色々とそりゃあ色々とあるんですけど、別にいいんです。僕、市丸隊長を尊敬してますから。まあ、言いたいことはありますけどねあるんですけどね本当に色々とあるんですけどね」
「俺もまあ、慣れたからいいんだけどよ。阿散井、朽木隊長だったら少なくとも、隊長の捜索に一日費やしたり書類を溜め込まれて徹夜で印を押したり、日々蹴られたり殴られたり踵を落とされたりはねえからな。喜べよ」
「はあ……」
異様な迫力の吉良と大前田の言葉に阿散井は小さく曖昧に頷いた。その様子を乱菊は笑って眺めている。檜佐木は感じ入るように頷いて、
「そうだよなあ。俺、三番隊や二番隊を見てると、九番隊で本当に良かったと思うぜ」
と呟く。そしてひょいと雛森を見て、
「そういや、同じく苦労してそうな伊勢さんとかはどうしたんだ?」
と聞いた。雛森はただ笑っていたが、その言葉に店の掛け時計を振り仰ぐ。
「そろそろいらっしゃると思うんですけど……やちるちゃんは寝ちゃったかもしれないですね」
「あー、そうしたら更木隊長も欠席だね」
吉良がくすくすと小さく笑う。乱菊は吉良に、
「更木隊長が何に欠席するの?」
と尋ねる。それに大前田が答える。
「隊長達で飲み会するんだとさ。俺ん家が管理してる慈乃の庭園を貸し切りにしてるはずなんすよ。うちの隊長は仕事で欠席っすけどね」
吉良も頷いた。
「今夜、隊長達もこちらに対抗して飲むらしいですよ。どうも年長男性組の面々だけらしいですけどね。日番谷隊長は速攻でお断りされたそうですから、それで松本さんに何もおっしゃらなかったんでしょう」
吉良の説明に乱菊は苦笑する。
「だと思うわ。こちらに来たがっている雰囲気だったもの。やっぱり何もおっしゃらなかったけどね」
「日番谷君ってば、意地はらないで来ればいいのに」
雛森がそう言って軽く口を尖らせる。阿散井が即座に、
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07月04日(火)
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