ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■『女性死神協会 会議中09』
「あー……やっぱり女性死神協会かよ」
 驚くこともせず、大前田はだるそうに呟やいた。そんな足元の彼をなんら気にすることなく、砕蜂は胸を張って説明を始める。
「うむ。指示通りおとなしく運ばれてきたな。さて、私の提案はこの男の貸し出しだ。まあこやつがいないと二番隊としては困るのだが、この者の勤務時間外ならば許可しよう。とにかく役に立つことは確かだ。自室に戻れば部屋の空気は入れ替えられている、室内はきれいに掃除整頓されている、風呂は焚いてある、胃にやさしい夜食はできている、布団の中には湯たんぽが入って寝巻きも一緒に温められている。どうだ、これならば完璧だろう。ゆっくりくつろげること間違いなしだ」
 七緒がこめかみを押さえた。
「いえ、二番隊副隊長にそこまでされてくつろげる剛の者はなかなかいないと思います……それに、大前田さんを貸し出して一番困るのは砕蜂隊長のような気がしますが」
「つうかお前ら、床に転がされている俺の存在とか人権とかを完璧に無視してやがるな」
 縄を解くのも面倒なのか、転がったまま大前田が呟いた。



「では、次の方」
「はい」
 七緒の声にネムが静かに手を挙げる。そして一枚の紙を広げた。
「『癒しの空間へようこそ。岩盤浴カプセルを貴女も体験してみませんか』……何を始めたの? 十二番隊は」
 紙に書かれた文章を読んで七緒は首を傾げる。宣伝文句の下には、浴衣姿のネムが大仰なカプセルの中に座っている写真があった。
「いえ、十二番隊ではなく技術局です。この度、技術局が開発した岩盤浴カプセルの使用許可を頂きました。遠赤外線効果で皆様リラックスされること間違いないかと思われます」
「へえ……それはいいわねいいとは思うんだけどね技術局っていうのがね。ていうか、どうしてそんな一般的なものを開発したの? 技術局が」
 七緒がポスターから目を離して尋ねた。ネムは表情を変えずに口を開く。
「データ採取に」
「ふうん、データ採……ってちょっと! やっぱり裏があるじゃないのよ!」
「いえ、堂々とした表の理由です」
 ネムがそっとポスターの写真部分を指した。七緒は覗き込むように顔を近づける。
「……あんたの背中から出ている赤やら青やらの線は何?」
「データ採取のためです」
「表の理由ならもっと分かりやすくしときなさい! それに宣伝文句は嘘八百じゃないの! 却下! というより技術局にあとで行くから! 書き直させます!」



 全身から吐き出すように大きく溜息をついて、七緒は横でずっと笑っているやちるを見た。
「……会長の案は」
「うちの稽古に招待するよ。稽古の日はよく眠れるってみんな言ってるもん」
 やちるは誇らしげに言った。七緒はがっくりと肩を落とす。
「十一番隊の稽古は一般の死神には厳しすぎます……」
 ぐりぐりとこめかみを押してうーと小さく唸るようにしている七緒に、やちるは首を傾げる。
「七緒ちゃんこそ、一番そういうの知ってそうなんだけど」
 きょとんと七緒がやちるを見つめ返した。
「……お香とか、お風呂にゆずを浮かべるとか、暖かいスープを飲むとか、それくらいしか実践していないものですから」
「そういうのでいいんじゃない」
 乱菊が面白そうに笑う。
「それらは効果がありますよ」
 勇音が微笑む。
「うむ。苦労人の伊勢が実践していることならば説得力もあるだろう」
 砕蜂が頷く。
「就寝前の軽い運動もされておりますよね」
「それは黙っておいて」
 呟いたネムを七緒がきっと睨んだ。
「それでは、四番隊でのお茶の効能実験が終わりましたらこれらの案をあわせてお知らせすることにしましょう。温泉の素とか紹介するのもいいかもしれません。探しておきます。勇音さん、実験の計画が決まりましたら連絡お願いします」
「分かりました。みなさん、よろしくお願い致します」
 勇音が軽く頭を下げる。そして会議が無事に終了したことに自然と拍手がおきた。
「…………つうか、俺、帰っていいすかね」
 足元で相変わらず転がっている大前田が面倒そうに呟いた。




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03月03日(日)
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