ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■『女性死神協会 会議中07』
「では、次の方」
「うむ、私だな」
 七緒の声に砕蜂が鷹揚に頷く。そして懐から数枚の写真パネルを取り出した。青い畳の、広々とした、しかし殺風景な和室が写っている。
「……すみません、砕蜂隊長」
「どうした」
「こちらは……どちらでしょうか」
 おそるおそる尋ねる七緒に向かうと、砕蜂は微かに口の端を上げた。
「刑軍の一施設にある部屋だが」
「ちょ、ちょっとお待ち下さい…………刑軍の施設は一般の死神は立ち入り禁止では」
 七緒の言葉に、砕蜂は小さく笑う。
「何を言う。貴様らが一般の死神ではないことくらい、私はよく分かっているぞ……まあ、確かに貴様らにも見せられぬものはあるので、所々では目隠しをしてもらわねばならないが」
「目隠しをすれば入れるんですか!」
 七緒は驚いて眼を瞬かせる。周囲も一様に驚きの表情をする。それを見渡し、砕蜂は厳かに頷いた。
「うむ、見さえしなければ問題はない。まあ、耳を塞ぐ必要は生じないだろう。会議のときには部下に申しつけておくゆえ、音の届く範囲で行われることはない。嗅覚、触覚については閉ざす必要はないし、味覚は無関係だ。とにかく、目隠しだけだ。これを外されると私もなかなかに厳しい選択をせざるをえな」
「すみませんご遠慮させてください本当に申し訳ありませんがちょっとそれだけはなかったことに!」


「…………では、次の方」
「はい」
 七緒の声にネムが静かに手を挙げる。そしてどこからともなく数枚の写真パネルを取り出した。そこには真っ白な壁に囲まれた、窓のない無機質な部屋が写っている。
「却下」
「まだご説明しておりませんが」
 首を傾げて七緒に尋ねるネムから顔を逸らし、パネルを見ないように七緒は眼を閉じた。
「あー……だめなのかしら。聞かないとだめなのかしら」
「聞いて頂くために準備して参りましたが」
「……だって、それ、どうせ研究所の一室か十二番隊の一室でしょ」
 細く目を開けてのぞき見る七緒に、ネムは頷いた。
「はい、研究所の一室です。マユリ様が特別にお貸し下さるとのことでした」
「その時点でお断りしたいんだけど、一応尋ねておきましょう。条件は?」
「簡単なものだけでした。この一室を使用する際、いろいろとデータを採取するための機器を接続させて頂きます。皆様にはそれ以上、煩わしいことはございません。ただ少々、部屋の空気が薄くなるなどの様々な負荷をかけてみたり精神的な攻撃をしかけてみたり等の」
「等の、じゃないでしょうが! 十二分に煩わしいでしょっっ! 絶対にお断りします……とお伝えして!」


 両方のこめかみをぐりぐりと押さえ、七緒は大きく溜息をついた。
「……一応、隊長からお許しを頂いているので八番隊の一室をお貸しすることもできるのですが、隊長が隊長なものですからどうも皆様をお連れするのに一抹の不安がありまして」
 七緒は足下で笑っているやちるに目を向ける。
「会長はどう思われますか」
 七緒の問いかけにやちるは顔を上げ、んー、と首を傾げて見せた。
「あのね、考えてたんだけど、びゃっくんの家なんてだめかなあ」
「……は?」
「だって、広くて使ってない部屋がたくさんあったよ」
 やちるはそう言うと無邪気に笑う。全員が、ああ、と頷いた。
「朽木隊長の家か、なるほど。確かに広そうよね。豪邸だもの」
 乱菊が唇に指をあてて記憶を掘り起こして言う。
「そうですね。伺ったことがありますが、人の気配のない部屋がたくさんありました」
 勇音が両頬を手で押さえて、ゆっくりと言った。
「確かにな。奴は豪邸を最大限に活用しているとは思えぬ」
 砕蜂が腕を組んで断言した。
「…………具体的には、二階南東角部屋の奥にあります隠し部屋などがよろしいかと」
 ネムがいつのまにか間取り図を広げて指し示す。
「ちょ、ちょっと待ってください皆様。どうやって朽木隊長からお借りするつもりなんですか」
 七緒が慌てて全員を見渡した。そしてきょとんとした眼で見つめ返される。
「……無断で?」
「……勝算は?」
 やちるがにっこりと笑った。

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03月01日(金)
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