ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■その先の5題02
「副隊長、隊長はどうされたんですか」
白玉あんみつを豪快に流し込もうとしていたやちるが、傾ける小鉢を離して口を開いた。
「今、卯の花さんが来てるから先に行って食ってろって」
「……この間、隊員が四番隊の隊舎の壁、壊した件か」
「そうだろうね……」
午後の鍛錬は相当荒れたものになるだろうと想像ができ、二人は頭を押さえた。沈痛な面もちの部下を気にせずに、やちるは小鉢からあんみつを流し込んで食べている。
『跳ね返る』
日番谷冬獅郎はその日二十二回目の溜息をついた。
「やあ日番谷、久しぶりだね、お菓子があるよ」
珍しく外を歩いていた浮竹に会ったことはまだいい。その可愛がりっぷりが気に食わないが病人を邪険に扱うことを日番谷は良しとしない。だがしかし、見るからに嬉しそうに懐紙に包まれたものを取り出す浮竹から、(眉間の皺を当社比三割増で深くしていたものの)おとなしく菓子を受け取っていたところに、三番隊隊長市丸ギンが現れたことは偶然とは思えない。
「おや十番隊隊長さん、前にボクが言うた通りやないですか。ええ子にしてはるとええコトありますやろ」
「うるせえぞ市丸とっとと失せろ」
「やあ市丸、久しぶりだね」
「十三番隊隊長さん、今日はお加減よろしゅう」
「ああ今日は調子が良くてね、自分で薬を取りにきたんだけど」
「俺を無視して会話を続けるんじゃねえよっていうか市丸さっさと失せろうぜえ」
「会話が高うて大変ですやろ。聞こえはりますか、十番隊隊長さん」
「ああ日番谷、すまないね、屈もうか」
「てめえら二人して喧嘩売ってるのか」
「十番隊隊長さん、いつも大変ですやろ。副隊長さんも背ぇ高いお人ですもんなあ」
「でも松本は背が高いのが似合っているよな」
「別嬪さんですからなあ」
「現世に行ったら、モデルって言うんだっけ、そんな仕事できるだろうね」
「ああできますやろ。ボク、イヅルに文句何もないですけど、ああいう別嬪さんが副官でもええですな」
「その助平な言い方止めろ」
「俺も現状に何の文句もないけど、ちょっと羨ましいね」
「羨ましがるな、だからおっさんって呼ばれるんだ」
「全体的に野郎の比率が高いですやろ。傍に別嬪さんいるのは幸運ですわ」
「そうだよなあ。野郎だらけだよ本当に。日番谷、幸せに思わなきゃだめだぞ」
「そうですわ、十番隊隊長さん」
「本当だよ、日番谷」
このとき、鬱陶しかったのは確かで、早く立ち去りたかったのも確かだ。けれど。日番谷は頭を抱える。どうして口走ってしまったのだろう。
「ああそうだろうそうだとも羨め妬め。副隊長は美人に限るさ美人じゃないと許されねえよってこれでいいんだろこれで……」
どうして雛森の霊圧に気づかなかったんだろう。
「…………酷い、シロちゃん酷い! どうせあたしは美人って言われたことないもの!」
「ど、どうしてここにいるんだよ雛森!」
「一番隊からの帰りなんだからここを通るに決まってるでしょ。ごめんなさいねこんな人が副官の仕事していて。シロちゃんはそりゃ、松本さんだもんね美人だもんね大人の女だもんね良かったよね。あたしが副官じゃなくてホントに良かったよね。許されないんだもんね、美人じゃないと。ごめんなさいね、許されないのに副官していて」
「ひ、ひな」
「でも藍染隊長はそんなこと仰らないもの。ええあたし、絶対に絶対にシロちゃんの部下にはならないから安心して。それではお邪魔致しました浮竹隊長、市丸隊長」
どうして市丸の企みに気づかなかったんだろう。
どうして浮竹がノリやすいことを忘れていたんだろう。
「あらら、追いかけんとええんですか、十番隊隊長さん」
「雛森は可愛いと思うけどな。言ってないのかい、日番谷」
「謝らんとあきませんよ。ちゃんと謝れたらご褒美あげますわ」
「そうそう、謝って、ちゃんと雛森は可愛いと言わないといけないな。ほら、早く行かないと」
誰のせいだ誰のせいだ誰のせいでこうなったんだ。
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02月03日(日)
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