ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■うれしい
「あたしの髪はあんたの玩具じゃないのよ」
乱菊が小さな声で言い、俯いたままギンを見た。その眼は光っていて、注意深くゆっくりと細められるのをギンは息を止めて見ていた。
「でも、ありがと。ギン。そうね、もう六年になるのね。ありがとう、ホントに、嬉しい」
ギンは大きく息を吐いた。
「……せやから髪、一度でええから伸ばしてくれへん?」
「だめ。逃げるときに掴まれたりしたら危ないから」
「ボク、きれいに結うたるわ」
「面倒だから嫌」
きっぱりとギンの願いを拒絶して、乱菊は微笑んだ。
「でも、髪を梳いてもらおうかな」
「ほんま? ええの」
「傷を手当てしてからね」
ギンは嬉しげに笑い、指に絡めていた山吹色の髪に口づける。顔が近づいて、乱菊が額をこつんとギンにつけた。そして花のように笑う。ギンの中がそれに満たされて、ギンの口元は自然と緩み、ほころぶ。
ギン乱誕生祭(20050823-1031)参加作品
乱菊がどうやって甘い物を作ったのか、私にはわかりません。素朴なものが出来上がるのだろうなとは思いますが。ほら、砂糖とか小麦粉とかあるわけないので。甘味はどうしたって果物だろうと思います。芋も、よくあるのは山芋みたいなものでしょうしね。
そしてこれが、後で慌てて言い訳じみたお話(ギン乱十三題の一つ)を書いた理由の話です。ギンの盗みについて非常に不完全な説明をしていたのでそうしたのですが、冷静になって考えるとまあこんなものなのかもしれないとも思います。ギン自身はただ、乱菊にしかめ面をさせたくなくて代金と等価のモノを置いてくるのでしょうが、盗みそのものに対しては何とも思わないと思うので。
まあ、乱菊という人がいなければ生きていくのに不必要なものを欲しいとは思わないでしょう。しかし、不必要だけれどもそれでも、と感じる対象が現れるからこそ世界は美しくなるのだと思うのです。そしてギンにとって世界が美しいものになったゆえに、ギンは様々な感情を覚えていくのだと思っています。
01月04日(金)
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