ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■27 三分の理
ぽつりぽつりと、浦原がひそめた声で夜一に事の成り行きを説明する。ここ数百年の間、浦原だけではなく多くの死神がそれぞれ虚と死神の境界を取り払うための研究をしていたこと。これまでで成功したのはおそらく自分ただ一人であること。成功したことを知るのは協力者を含め数名しかいないこと。造り出された物質は予想以上に危険であったこと。この成功を知っている数名の内、ただ一人だけが破壊に反対したこと。今回の事は表面上は開発の失敗という形にし、内々では開発はできたが破壊したという形にしたこと。
そして、崩玉の破壊に成功したという話を確実に疑っている死神が一人いること。その人物こそが破壊に反対していた死神であること。
浦原は脱力した眼をして赤ん坊を眺めたまま、自分の中で一つ一つを整理しているように話している。夜一にはこれまでに聞かされたことのある話も、全く聞かされていない話もあった。夜一は赤ん坊に指を握られたまま黙ってそれに耳を傾けていた。
「そして、これからどうする? おぬしが育てるのか?」
夜一は赤ん坊から目を離さずに尋ねる。浦原は首を横に振る。
「アタシが育てたら、それこそここに崩玉がありますよって宣伝してるようなもんスよ。また戌吊に戻します。誰か、育ててくれる人をつけて」
考え込むように口元を引き結び、夜一は黙り込んだ。浦原もまた無言で、赤ん坊をあやすように揺すり続けている。月光だけが照らす部屋は少しずつ明るみを帯びてきた空とともに青く青くなり、涼やかな虫の声だけが響く。いつのまにか声は増えていて、重なり合った音色が冷たい空気を揺らしていた。
夜一が、口を開く。
「わかった。養育者は儂が探す。おぬしの縁者では少なすぎてその死神とやらにばれるじゃろう。儂ならその数は膨大じゃ。それに、外の者から見たら儂との関わりの判らぬ者もおる。任せておけ」
「すみません」
「詫びるな」
夜一は空いている手で浦原の頭を再び自らに寄せる。そして耳元で力強く囁く。
「おぬしは破壊の方法を探せ。見つけだせ。他のことは儂とテッサイに任せるがよい。方法を探すことはおぬしにしか出来ぬ。それに」
溜息混じりに夜一は言葉を吐き、浦原の髪に埋めるように己の額を浦原の頭に押しつけた。
「詫びるなら、この娘にじゃ。儂らは皆、この娘に詫びねばならぬ。許されぬことをしているのじゃ。詫びても詫びても、足りぬわ。……理由はある、理由は確かにあるが。どんな理由があろうとも…………早く、破壊する方法を探し出さねばの」
夜一の吐息を頭皮に感じ、浦原はただきつく眼を閉じる。腕の中の赤ん坊の体温があまりに暖かく、浦原は何も言えずに、ただ頷く。
二人の耳に虫の音が響いていた。
涼やかな音色が響く庭の向こうには紺青の空が広がり、欠けた月が青白く輝いていた。
崩玉が完成した後の、ある日の喜夜のお話です。この話も含め、彼らの話には俺様な設定が山の如しです。そちらにご興味がございましたら、考察設定のページをご覧下さい。読みにくい文章でつらつらと書いております。一応、当サイトではルキアに崩玉を埋め込んだのは彼女がまだ赤ん坊の頃、としております(詳細は考察で)。
それにしても、ここまで色気の少ない(つうか皆無)のお二人を書く人も珍しいかもしれないと思ってしまいます。
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11月27日(火)
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