ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■21 懺悔
 数日、周囲を探して分かった唯一のことは、鴉色の装束の人が妹らしき赤ん坊を抱えて北へ……中央の方へ向かったということでした。私のことも妹のことも知っていたご婦人が、眉を顰めて教えてくださったのです。あれはもしかしたら死神崩れかもしれないよ。女の子を攫って、花街に連れて行ったのかもしれないよ。赤ん坊から育てれば、ほら、ねえ。そう仰って、ご婦人は私の方を気の毒そうに見やりました。別のご婦人はこう仰いました。死神なら、貴族らしいから、娘にするために連れて行ったのかもしれないよ、と。
 私は北へ向かいました。
 全ての地区の全ての集落を花街を巡りました。掴まったことも、嬲られたことも、申し上げられないような行為をされたこともありました。殺されそうになったことも一度や二度ではありません。けれど、そうしていても、私は死ぬこともなく、何かに導かれるように、南全ての地区を隈無く探したのです。
 そしてあの日、瀞霊廷の手前まで。

 まだ私と妹が現世で生きていた頃、父と母がまだいらした頃、私と妹を見比べて母が言いました。お前の赤ん坊の頃にそっくりだと。そして父が笑って言いました。この子が大きくなったら、さぞや似た姉妹になるだろうと。
 ですから、妹は私と似た姿に育ったことでしょう。
 同じような大きな眼をし、細い顎をし、小さな顔で、細い体躯。
 私は人々に尋ね続けました。私と似たような少女はおりませんでしょうかと。問い続け問い続け問い続けて、そして瀞霊廷の門の前で。
 私は土下座をして門番様にお願いしておりました。

 私が妹を捨ててから、百年近い年月が過ぎておりました。

………人を捜しております瀞霊廷の中にいるやもしれませんあの子は霊力がございましたからおそらくこちらにいるのではないかと思うのですお願い致しますどうか中にどうかどうか中に入れて下さいませ………ならばせめて門番様私と似たような少女に見覚えはございませんか…………

 そこへ貴方様がお通りにならなかったら、一体、どうなったことでございましょう。

 貴方様は立ち止まり、私の問いを聞いて下さいました。薄汚れた私をお屋敷にお連れ下さいました。学院や協会に問い合わせて下さる間、お屋敷に置いて下さいました。そして妹が見つからず、もうあとは残りの地区全てを探すしかないのかと途方に暮れた私に、ここを拠点とすればよいと仰って下さいました。
 そして罪深い私を。
 愚かで罪深い私を。

 私は、貴方様の裏表のない優しさに甘えてしまいました。
 貴方様の深い優しさに、ただ甘えるばかりでございました。

 嫁いですぐに臥せってしまい、妹を満足に捜すこともできず、貴方様のお役に立つこともできず、ただ甘え、ただ頼り、ただ守られておりました。
 春は桜、夏は花火、秋は月、冬は雪。
 寝込む部屋から全てが眺められるよう、貴方様は庭に面した部屋に私を寝かせて下さいました。そして庭の風景を、ただ二人で眺めておりましたあの日々。
 時は流れるように穏やかに過ぎ、私は初めて人と穏やかに過ごす時の柔らかさを知りました。そして、そうして、何も貴方様に出来ないまま。
 何もお返しできないまま。
 そして妹に詫びることもできないまま。

 鏡を見るたびに、水面に映る自分を見るたびに、誓って参りましたのに。
 私はこの姿でいられなくなりました。
 私と妹を繋ぐ唯一の糸を、私は手放さなければなりません。
 これが私の、罪深い私への罰なのでしょうか。

 どうか妹が幸せに生きておりますように。
 どうか貴方様がお幸せでおられますように。

 私は誓いも果たせぬまま。
 何も為し得ないまま。
 貴方様への想いと、妹への詫びを胸に抱いて、ただ。







あれだけの時間、探し続けていたのなら、細かく細かく探しているだろうし、かつ、霊力はなさそうかなと思いまして……捏造しました。沼に沈むのもお地蔵様も彼女の能力の有無も出会いも何もかも、捏造ですよ捏造。
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11月21日(水)
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