ID:104863
G*R
by K・カヲル
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■15 乾き
「……見た目は坊やで、欲求もその年頃のものなのに、そういうことだけは成長しちゃうのも……辛いねえ」
俯せのまま、軽く呻いたギンに、女は体を寄せてきた。柔らかい暖かさが、ギンの背を覆った。
女が耳元に囁いた。
「十年以上もその子に向けられた乾きがさ、あたしとの一晩で潤うとは思えないんだけど……少しは慰めになればいいね。こっちを向きな、坊や」
ギンは体を捻り、後ろを振り返った。
朝靄に霞んでいるが、ここでは珍しい色鮮やかな花街の建物が遠くに見える。早朝まで相手をしてくれた女は、確かに柔らかく暖かく潤んでいた。けれど、その潤いはギンの中までは染み込まない。ギンは再び川面に目をやる。光が急に飛び込んできて、眼が痛い。
山辺から現れた朝日の光が届き、揺れる水面が乱反射していた。
乱菊を思い出して、ギンはきゅうと痛む鳩尾を押さえる。体は快楽を感じても、この乾きが求めているのは乱菊だけだった。乱菊だけが、ギンを苛むこの乾きを潤してくれるだろう。
ギンは薄く笑った。もうすでに、大人と言えるほど自分は生きているにもかかわらず、それでも精神は肉体に引っ張られ、乱暴に引きずり回される。おかしいと思う。理不尽だと思う。長すぎる青い苛みに、おかしくなりそうだとも思う。
それでも、仕方なかった。ギンは乱菊のいる世界でしか息が出来ない。
また溜息をついて、そしてギンは膝をつくと川の水を両手で掬った。隙間からこぼれ落ちる水が膝を濡らしたが、構わずギンは顔を洗った。そしてもう一度水を掬うと、口を濯いだ。
「帰ろ……まだ乱菊、いてるやろか」
苦く笑うと、ギンは立ち上がって川伝いに歩き出した。
ずっと考えていたことでした。思春期が長いこと、年月を重ねることで大人になる部分と、体に引きずられざるを得ない部分の共存。これはかなり辛いのではないだろうかと思っていたのです。解決してませんけど。
追加:この話は、長編二番目の話と繋がっています。ギンの回想の部分なのですが、もっと詳しく書いておきたいと思っていました。
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11月15日(木)
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