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G*R
by K・カヲル
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■ぼくらはただそうやって世界を手にした 8
「今回の営業は、その女将さんにお前らの売値の料金を払ってこいっていう団長さんのお達し……温情なのよ」
「会えたんだ?」
「ええ。まだ元気だったわ。やっとアタシ達が「買われた」料金を払えたわねえ」
「長くかかったから、利子も付けてさ」
「よかったね」
「そうだねえ」
乱菊は、ここに来て一番最初にまともに話した女を思いだした。あの女もそういう女将さんという立場の人間だったのではないだろうか。あの女も元気だといいと思う。
それにしても、一度はここを離れたのにまた来るとは。
「ここまで来るのに安全じゃないでしょ? 強いの?」
乱菊の問いに、女達は笑って顔を見合わせる。
「アタシ達もかなり特訓したけどね。剣舞もあるし。他のみんなも強いよ。追い払うことなんて朝飯前よ」
「ウチらの三分の二は弱いけど霊力を持っているし、力自慢兼用心棒の二人は死神崩れだからねえ」
「崩れちゃったの?」
「性に合わなかったんだってさ。不真面目で風来坊だからね」
「ふうん」
女の一人が指し示した方を見ると、色鮮やかなかぶいた着物の大男が一人寝ころんでいた。その向こう側で細身の、しかし長身の男がぼんやりと煙草をふかしている。確かに真面目そうには見えないが、じんわりと感じる霊圧と腰にさした刀が、ああ彼らは用心棒だ、と思わせた。
「合う合わないはあるからねえ」
「ウチらも、芸者は無理だったけど、踊り子は合ってるからねえ」
「うん、お姉さん達、とっても綺麗」
乱菊の言葉に、女達は声を上げて笑い、「かーわーいいー」と一人が乱菊を抱きしめた。白粉の匂いがして、その大人の香りに乱菊はどきどきする。膝の上の少女が女達の真似をして、乱菊の腰に抱きついてくる。
「ねえ、ちょっとアンタ、かわいいんだから、飾ってみないかい?」
「小さい着物があるだろう。やってみようよ」
女達はよい着せ替え人形が手に入ったとばかりに少女ごと乱菊を抱えて、修理中の馬車に入ろうとする。連れて行かれる乱菊を見て、思わずギンは跳ねるように立ち上がった。反射的に幽かにではあるが霊力を右手に込める。
その瞬間、離れていたはずの用心棒二人がギンと女達の間に立ちふさがった。
驚いた乱菊は慌てて
「なんでもないよ、ギン。ちょっと待ってて。なんかよくわかんないけど大丈夫だから」
と言って笑いかける。女達も笑って、
「アンタの用心棒は優秀だねえ。坊や、ちょっとこの子を綺麗にするだけさ」
「ちょっと待っておいでよ。べっぴんさんになって出てくるよ」
「アンタ達も何そんなに子供相手に用心棒らしいことしてんだよ」
と三人に声をかける。そして笑いながら馬車の中へと入っていった。
睨み合っていた三人は、顔を見合わせて気まずく笑った。
馬車の中からは嬌声と、困惑した乱菊の声がしている。
どうにも行き場のなくなった用心棒の二人とギンは、傍の樹の下に座っていた。ギンは乱菊の声が気になって、ちょくちょく馬車の方を振り返るが、さすがに入るわけにはいかない。
「坊主、お前、相当な霊力があるだろう」
落ち着かないギンを見かねて、巨体の方がそう話しかける。ギンは向き直って首を傾げた。
「ボク、誰かと比べることあんまないさかい、ようわからん。乱菊と比べたらボクん方があるみたいやけど」
「ああそうか。そんなに同類に会うこともないしな」
長身の方がそう言って、頷いた。
「何でそない思うんよ」
「出す霊力の量を咄嗟に微調整しているうえに、体の一部分だけに集中して集めるなんて芸当してるからだよ」
「それが安定しているしな。それなりに霊力がないと安定できねえよ」
「はあ、そうなんや」
ギンは感心していた。この二人も相当に実力者だ。実力があると一瞬で相手の力を判断できる、ということは確かなようだった。これまで全て自己流でやってきたが、今のうちにいろいろと知識を仕入れておこうとギンは思う。
「この力の使い方って、もっとなんかうまい方法ないやろか」
「そんな直球でこられても」
長身の男が苦笑する。巨体が補うように笑いながら説明をしてくれる。
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01月19日(水)
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