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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「バービー」


産湯を使ったお人形さんはタミーちゃんだったし、リカちゃんも大好きだけど(「現実を生きるリカちゃん」のファンです)、私は人形はバービー派でした。この作品は製作が決まった時から、楽しみにしていました。公開前にケチがつきましたが、映画はとっても良かった!もう最高!期待以上の出来でした。秀逸なフェミニズム映画です。監督はグレタ・ガーヴィク。

バービーランドに住む定番型のバービー(マーゴット・ロビー)。裁判官も医師も作家もお友達も、型番は違うけど、みーんなバービーです。もちろんBFのケン(ライアン・ゴズリング)もいっしょ。毎日素敵なファッションにお食事、お勉強にパーティーと、仲良くランドに住んでいます。ところがある日、定番型のバービーが死を考えるようになったり、ハイヒールを脱ぐとベタ足になったりと、不安定になってきます。変てこバービー(ケイト・マッキナ)によると、それは彼女の持ち主の気持ちが伝わっているからなのだとか。自分の持ち主を探しに、バービーは人間界に行く事になります。

のっけから、テーマカラーのおピンク満載!ランドの様子がとにかく可愛くて楽しくて!何も考えず、ポジティブに好きな事だけに囲まれてね。私も住んでみたいわ〜と、ウキウキ。但し一か月。いや、一週間かな?(笑)。期間限定と思わせるのが、この作品の要でして。

キュートでカラフルなれど、チープすれすれ、絶妙にプラスチック感を漂わせ、そこはかとなく「籠の鳥」を匂わせるランド。品行方正で他人の陰口も言わず、女の子同士仲良しこよし。男の子を泊まらせるなんて、ママに怒られるから、出来ません。ここは、喜怒哀楽の楽しかない場所。そんな場所、そのうち退屈よね。それが解らないバービーたち。ここは与えられ、保護された場所です。

バービー人生で辛酸を舐め尽くした変てこバービーに促され、仕方なく(しんどい事は嫌)バービーは、人間界に辿り着きます(本当は遊んでいたい)。そこはバービーランドと真逆の男社会、自分は女の子たちのアイドルだと自負していたのに、ローティーンになると見向きもされなくて、大人の男たちにはセクハラされる何という現実。悲しくて切なくて、涙するバービー。初めての感情の発露です。人間界という大海を知り、成長し始めている証しです。

対するケンは、いつもバービーの添え物だったのに、男社会の現実にウハウハ。積年の恨みを晴らすため、マチズモに目覚め、それをバービーランドに持ち込んだから、さぁ大変。すっかりランドの世界観が豹変してしまう。でもこの「恨み」、長年女性が抱いていた憂いなのです。このケンのキャラは、とても上手い。ほんと、添え物でしたね。何というか、私の時代のケンは凛々しさがなくチャラい(ごめんよ)。イマイチ好きになれなかったので、BF役はGIジョーを買って貰った事を思い出しました(笑)。

マテルのCEO(ウィル・フェレル)は、会社の役員が男性ばっかりでも気にならず、事件を起こされる前にバービーを捕まえたい。素直に箱に入らないバービーにクソアマ発言するも、ランドにマチズモを持ち込むケンは許し難い。曰く「現実では実現できないから、バービーランドくらい、女性社会にしたいのだ」。

↑自分たちが社会を牛耳るのは太古よりの正義で、何の問題もない。モラハラと言われても、何がモラなのか解らない。僕の言いつけを守ってくれない、君が悪いのさ。でも君を愛しているんだ。だから夢を見させてあげたいんだよ(当社解説)。

多くの、それも善良と呼べる男性が陥る思考ですね。無自覚な差別感です。夢を見させてあげるのではなく、夢を実現させてあげるべく、支えてあげるのが愛情、敬意では?これを縁の下の力持ちという。女性はずっとずっとず〜と!この役割をしてきています。夫や子供を愛しているから。


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08月15日(火)
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