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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「夕方のおともだち」(Amazonプライム)

見逃していた作品を、偶然アマプラで発見。速攻観ました。いや面白かった。予想以上。私の人生にはかすりもしないけど、とっても面白かった(笑)。最近息子の虹郎に推され気味の村上淳が、初めて素敵に見えた作品。監督は廣木隆一。
寝たきりの母(烏丸せつこ)の世話をしながら、真面目に水道局に勤めるヨシダヨシオ(村上淳)。唯一の趣味は夜な夜なSMクラブに通い、ミホ(菜葉菜)に痛めつけられる事。でも最近はどうも調子が出ません。彼を調教してくれたユキコ女王様が忘れられないのです。それが、たまたまミホと釣りに来ていたヨシオは、選挙カーに乗り、ウグイス嬢をしているユキコ女王様を見つけます。
この作品、真正の変態の憂いと哀しみ、悦びがテーマだと思います。それと並行して、男女の友情は成立するのか?も、描かれています。
冒頭から痛々しくも滑稽な、SMプレイの様子が描かれます。すげぇ痛そうなんですが、それより何より、菜葉菜のプロポーションの良さに目が釘付け!お尻なんて本当にカッコ良くてね、ボンデージファッションが超似合っています。
傷だらけのヨシオに、店長が「はい、化膿止め」と抗生物質を渡すのには笑ってしまった。いやーもー、プレーの数々を観ていると、命懸けよね。
真冬の凍える寒さの中、素っ裸の傷だらけの身体を縄で縛られ、一晩中公園で放置。翌朝、「よく頑張ったね。ご褒美をやろう」と、女王様の聖水の御慈悲に、何て温かいと至福のヨシオ。全然私には解らん(笑)。でもこの作品、SMシーンの随所で、痛い痛いと思いながら、思わず声まで上げて笑ってしまうのです。その時思い出したのが、かのSMの巨匠・谷ナオミ様のお言葉。
「SMは体臭や匂い、汚らしさを画面から感じさせては、失敗です」。確かに嫌悪感も汚らしさも感じず、むしろヨシオに哀愁を抱き続けていました。そう言えば廣木監督はピンク出身。その辺の抜かりはないようです。
友人もおらず、寝たきりの母の世話と仕事に明け暮れるヨシオは、一見孤独に見えるけど、そうじゃない。自分を好きだという興味ない女性には、俺は変態だぞ!ベルトでしばけるか!おしっこひっかけられるか!どうだ!出来ないだろ!と、威圧して追っ払う(笑)。孤独じゃなく、孤高なんだね。SMは彼にとっては、ただのストレスの捌け口ではなく、ほぼ生き甲斐。至福のカタルシスをもたらす行為なんでしょう。
今一度お手合わせをと懇願するヨシオに、ユキコ女王様は、自分の要求がエスカレートしても受け入れるヨシオに、いつか殺してしまうのではないかと、怖かったと、身を隠した理由を吐露します。
これも以前目にした記事ですが、女王様はマゾが育てるんだとか。調教なんて言うから、私は逆だと思っていたから、強く印象に残りました。確かにヨシオは、ユキコ女王様からマゾに開眼。しかし、それまでお仕事女王様だった彼女を、真の女王様に開眼させたのは、これまたヨシオだったんでしょうね。
私は変態には寛容でな、法を犯したり相手の心を傷つけたり、人に迷惑かけなければ、全く問題ないと思っています。いうなれば真面目で誠実な変態(笑)。死んでもいいです!と言うヨシオに、ユキコへの強い信頼も感じられます。多分、死に至る事で完結する関係なのでしょうが、それは出来ない。特異な性癖を持った人の、滑稽で切ない心情が浮かび上がります。
私はドSとかドMとかの言い方が嫌いでね。なんか品がないでしょう?これを使うのは、SMに真摯に向かい合っている人ではない。ヨシオを見て、真正の人に対して、失礼だからだと、理解しました。
そしてミホ。プレイは盛り上がらねど、ヨシオと友人関係は育んでいます。恋人未満友達以上の関係に、ミホの方がやや好意の度合いが強いよう。ある日、ユキコ女王様のプレイ以降、セックス出来ないので、ミホにお手合わせを願い出るヨシオ。そこには愛は無いけれど、誰でも良いわけではなく、試すならミホが良いヨシオ。複雑(笑)。
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07月19日(水)
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