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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「朝が来る」

コロナの第3波がザワザワし出した頃に観たので、もう3週間前くらいでしょうか?うーん・・・。評判良かったので期待しました。丁寧に繊細に描けている場面もありますが、あり得ない場面も多く、良かったとか好きだとは、全く言えない作品です。監督は河瀬直美。今回ネタバレです。
不妊治療をするも、子供が授からず諦めた清和(井浦新)と佐都子(永作博美)夫婦。二人で暮らして行こうと思っていた矢先、特別養子縁組を知ります。ひかり(蒔田彩珠)と言う少女から男子を授かり、名前を朝斗と名付け、子育てに追われながらも、幸せに暮らしていたある日、朝斗の母親のひかりだと名乗る若い女性から、朝斗を返して欲しいと告げられます。
前半の妊活、幼稚園での子供同士の諍いが描かれたのは、良かったです。不妊治療が描かれると、女性の側ばかりに焦点が当てられますが、今作は男性側の不妊です。井浦新の上手さもあって、無精子症と言われた男性の、己を全否定されたような失意のどん底にいる辛さが良く伝わり、辛いです。
私が高校生の頃、兄が東大生の同級生がいて、その兄に譲り受けた国語辞典を持ってきていました。東大を合格した人の辞書には特別な事が書いてあるのかと、面白半分、わいわいみんなであれこれ引いていました。「女性」と言う項目も引いてみると、幾つか書いてある中に「妊娠出来る人」と書かれてあり、みんなで顔を見合わせて、「男性」も引いてみる。そしたら「妊娠させられる人」との記述が、やはりありました。今から40年前の事ですが、「これって流石に削除じゃない?」と、その場にいた全員が賛同。今思えば、みんな中々柔軟な思考の女子高生でした。代理母や体外受精が取り沙汰されても、根本的な人としての尊厳や苦悩は、次代を経ても変わらないのです。
子供同士の怪我をさせた、させられたの類は、子育てすると避けて通れない事です。朝斗の言う事を信じられるか否かで、自分が試されているように感じる、佐都子の感情の描き方は良かったです。朝斗が間違っていなかったと安堵する顔は、母親以外の何者でもなかった。
しかし!どうして朝斗が「自分は何もしていない」と言うのに、佐都子は相手の親に電話するの?これはあり得ない。仮に朝斗が友達を怪我させてしまったとして、幼児の悪気ない行為は、目の届かなかった園の責任です。呼び出しを食らうのは良いのですが、こういった場合、加害者とされる方も傷ついているはずで、先ずは園側が謝罪して然るべき。そして必ず園でお互いの保護者を呼んで話し合いです。お互い勝手に連絡しないよう、釘を刺されるはずです。
それと、基本公立でも私立でも園内で怪我をした時は保険が使えるはずです。それを待ってましたとばかり、怪我をした方の母親は治療費と慰謝料を持ち出す。えっ!慰謝料?!私は大阪市内でも柄の悪い地域に住んでいますが、息子三人、怪我をさせたさせられた、及び他のクラスメートでも、こんなケースはわんさか観てきましたが、「慰謝料」なんて宣う親は、今まで観た事も聞いた事もない。捻挫くらいで、まるでタカりじゃないの。全くゼロではないにしろ、こう言う事例はかなり特殊と思われ、ここで違和感が募ります。
怪我した子が嘘をついたとわかったのはいい。どうして即一緒に遊ばせるシーンが入るの?先ずは親子で謝罪でしょ?子供と親を描くなら、当然入れて然るべきシーンです。それがなきゃ、私は一緒に遊ばせられません。細かいようですが、違和感増大。監督はお子さんいるはずなので、余計です。
後半からは、朝斗の実母であるひかりの六年間が描かれます。同級生との恋愛からの妊娠、家庭で大騒動になり、両親(とりわけ母)主体で朝斗を特別養子縁組に出すも、様々な軋轢により家を出て現在一人暮らし。荒んだ様子は、朝斗出産時から変貌しています。ひかりの六年間の変遷を描いていますが、これも謎の連続。
まずひかり妊娠で動揺する彼女の家庭はわかる。でも相手の親は全然出てこず、言い争いになる場面もなし。相手の男子生徒へ、この事が伝わっているかどうかもわからない。ひかりの親が文句ひとつも言わないのは、おかしいです。
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12月08日(火)
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