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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ハニートラップ 大統領になり損ねた男」


ヘップバーンにモンロー、日本じゃ八千草薫に吉永小百合と、死して老いて尚映画ファンを魅了する女優さんは数々います。そういう意味での私のアイドルは、小学生の時からずっとジャクリーン・ビセット!本当にずっとずっと憧れの人です。実際の事件を元にしたフィクションで、「未体験ゾーンの映画たち2015」で上映されて、めでたく「ドミノ」以来10年ぶりでスクリーンでビセットに再会出来ました。それに感動してしまって、内容はそんなに面白くなかったけど、大満足の作品(笑)。監督はアベル・フェラーラ。う〜ん、フェラーラじゃなかったら、もうちょっと面白く出来たかな?

次期フランス大統領候補と目される大物政治家デヴロー(ジェラール・ドパリュドゥー)。しかし彼は無類の女好きで、アメリカ滞在中のホテルで、ハウスキーピングの女性にまで無理やり手を出し、訴えられてしまいます。夫が大統領になるのだけが夢の妻シモーヌ(ジャクリーン・ビセット)は、すぐさまアメリカに飛び、デヴロー釈放に向けて動き出します。

2012年、当時国際通貨基金(IMF)専務理事で、次期フランス大統領候補として有力だったドミニク・ストロス=カーンが、滞在中のニューヨークのホテルで実際にハウスキーピングの女性を相手に強姦未遂事件を起こして、起訴された事件を元に、「あくまでフィクション」(と、冒頭字幕で出てくる)で創作した映画。でも制作国アメリカでは未公開、フランスでは有料のインターネット配信だけです。もしかしてカーンが公開出来ないように、裏で手を回したとか(笑)。だってカンヌ映画祭では、特別上映されたらしいしなぁ。

デヴローが空港で捕まるまで、ただの女好きを超えた絶倫ぶりが、酒池肉林的に描かれます。高級娼婦たちは皆モデルばりのスタイル抜群の美女ばかりで、ジュスト・ジャカンの「マダム・クロード」の世界。ぼかし付きのそのものずばりのシーンもたくさんありますが、もぅ〜ドパルドューが太り過ぎちゃって(笑)。彼の全裸なんか出てきた日にゃ、エロスも吹っ飛ばす物凄さ。脂ぎったおじさんならまだ生々しいですが、あれくらい太ってしまったら、例えが適切がどうかわかりませんが、獣姦を観ている気分です。まっ、デヴローはその後「獣(けだもの)」呼ばわりされるんですから、適役だったのかも?

空港での逮捕から妻がフランスから来るまで、警察の様子が描かれます。のどかと言うか何と言うか。テンポが悪くて私はあんまり面白くなかったなぁ。またドパルドューの全裸が出て来るし(笑)。本当にね、目に悪いですよ。太っているのが悪いと言うのじゃなくて、そういう人の全裸を映すのが悪趣味って事で。丁寧に撮っているようで、被害者の黒人女性に聞き取りするのが、男性の刑事だけだったり。日本じゃ女性警官じゃないかな?アメリカもそうだとしたら、演出の詰めが甘い。

対して酒池肉林、強姦未遂を時間をかけて描いたのは良かったです。多分病気なのですね、セックス依存症。本物のカーンは知りませんが、デヴローはそう感じます。台詞でもそう言ってますし。その理由を自分で分析していて、夫を大統領にして、自分がファーストレディーになるのが人生の夢の妻のせいで、そのプレッシャーから自分はセックス依存症になったのだとか。でもね、前妻との間の娘と婚約者を前に、「もうやったのか?」「娘のセックスはどうか?」と婚約者に尋ね、娘も娘で、「もう〜、パパったら止めて〜」とニタニタしている様子は、元々下ユルの血筋じゃないかと思うんですけどね(笑)。

これで大統領選出馬は水の泡となったと、法外な保釈金(日本円にして一億円くらい?)を払って夫を釈放させた妻は、夫を詰る詰る。夫もお前がプレッシャーを与えたからだと応戦。この夫婦喧嘩シーンが何度かあり、ここは面白かったです。妻はこれまで何度も夫の窮地を救っており、それもこれも夫を大統領にしたいため。大財閥出身の妻は、どうも戦争前後で家系の名誉に傷がついたようで、それを払拭したいがため、デヴローと結婚して大統領にしたかったようです。打算的ですが、夫に対して、妻ならではの愛憎をぶつける様子に、私は共感しました。


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03月29日(日)
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