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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ハンガー・ゲーム2」(吹き替え版)
明けまして、おめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。
4日から仕事なので、お正月休みの映画は諦めていたところ、夫が「映画でも行こうか?」と言うので、小躍りして最初、「いっぱいおっぱいとお尻が出てくるドキュメント観よ!」と、「ファイア&ルブタン」を推薦したら、「別に観とうない」と夫却下(私は観たい!)。「ほな『永遠の零』は?(私は興味ないけど、夫はこの手が好き)」と聞くと、「原作者が嫌い」と、これまた却下。それで二人共前作未見なれど、簡単なストーリーは知っているこの作品を観てきました。これ、三部作なのですね。えぇ!これで終わりかい?と言うラストを観て、初めて知ったもんでも、充分内容はわかりました。お正月らしい華やかさもあり、まずまずの手応えでした。監督はフランシス・ローレンス。
近未来、独裁国家パネムの行う「ハンガー・ゲーム」で生き残った少女カットニス(ジェニファー・ローレンス)。同じく生き残った偽りの恋人ピータ(ジョシュ・ハッチャーソン)とカットニスを、民衆は熱狂的に迎えます。カットニスの勇気に希望を見出した民衆の、独裁政権への反乱の機運は高まっています。それを危惧したスノー大統領(ドナルド・サザーランド)は一計を案じ、記念の大会に当たる75会大会は、今までの「ハンガーゲーム」の勝者だけを集めて戦わせ、カットニスを抹殺しようと計画します。否応なしに出場するカットニスですが。
ゲーム主体にアクションが描かれるのかと思いきや、登場人物それぞれの心模様を時間を割いて丁寧に描いていました。でもちょっと長過ぎかなぁ。でもそのお蔭で、ウディ・ハレルソン、エリザベス・バンクス、レニー・クラビッツの役割や、何故カットニスは恋人ゲイル(リアム・ヘムズワース)がいるのに、ピータと偽りの恋人同士を演じるのか?とか、前作未見の人でもわかるようになっていますので、この辺は作り手の戦略かも?
で、期待のハンガーゲームの場面も、予想と違いました。私は「バトル・ロワイヤル」形式の、人対人で戦うのかと思っていましたが、実際は人口に作ってある島内で、様々に仕掛けられたトラップを見抜きながらのサバイバルゲームで、偶発的に敵と出会うと殺し合いが始まると言うもの。まっ、これはこれで趣向を凝らしており、面白かったですが。ハイテクを駆使し、お金をかけまくった「風雲!たけし城」だと言うと、作り手に怒られちゃうかな?たけし城は命は取らないけどね。
一つ不満は、カットニスの恋心はどちらにあるのか、その葛藤や狂おしさが描かれないこと。ピータは明らかに彼女に恋心があるし、偽りの恋人と言う切ない立場でも、男の包容力でカットニスを包みます。ゲイルも嫉妬を自分の不甲斐なさから来るものだと、こちらも実に誠実に自分と向かい合っています。なのに肝心のカットニスは、ピータに気持ちが移ったのか、なら背徳感は?と言う描写がありません。せっかくのプロットなのだから、描き込んで欲しいかと思いました。
ハンガーゲームの開会式は、古代ローマを思わすもので、殺し合いが民衆の娯楽になっている事も、大昔と同じ。ハイテクで管理されたパネムとは相反するようですが、現在世界的に右翼化傾向が強まりつつある中、パネムの世界観は、近未来を危惧しているようにも感じます。
自分は家族のため、その小さな社会を守るだけで精一杯なのだと、世間から希望の星のように祀られることに、違和感を持つカットニス。しかし、人口の島の天空に矢を放ち、それが本当は実存しない虚飾にまみれたものだと実証したのは、彼女です。風穴から覗く空は、とても青くて清々しかった。
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01月05日(日)
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