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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ラブ・アゲイン」
いや〜、面白かった!実力派豪華キャストの上、私の大好きな「フィリップ、君を愛してる!」の監督、グレン・フィカーラ&ジョン・レクアのコンビなので、あんまり好みじゃないラブコメですが、すごく楽しみにしていました。少々捻りすぎてドタバタした場面もありますが、ストーリーに破綻はありません。大いに笑って切なくなって、結論は道徳的でとても純粋なものでした。
結婚して25年のキャル(スティーブ・カレル)とエミリー(ジュリアン・ムーア)夫妻。高校時代からの付き合いの美しい妻と結婚し、子供に恵まれ家も建て、仕事も順調と、自分なりに順風満帆だと思っていたキャルは、突然妻から離婚を申し渡されます。原因はエミリーが職場の同僚デイヴィッド(ケヴィン・ベーコン)と浮気したこと。咄嗟に離婚を承諾したものの、エミリーに未練タラタラのキャル。毎夜バーに繰り出して、一人愚痴をこぼします。その様子を観ていたのがプレイボーイのジェイコブ(ライアン・ゴズリング)。さっぱりイケテナイ風情のキャルに、ファッションから改革し、女性に対してのプレイボーイ指南を始めます。舎弟のようにジェイコブの言うまま、プレイボーイ修行に励むキャル。しかし心はいつもエミリー恋しさに逆戻り。果たしてキャルは妻の心を取り戻せるのか?
と言うのが大まかなストーリー。ここにキャル夫妻の子供たちのベビーシッターの17歳のジェシカ(アナリー・ティプトン)が実は父親のような年齢のキャルが好きで、そのジェシカはキャルの13歳の息子ロビー(ジョナ・ボボ)の初恋の人で、「魂の伴侶(ソウル・メイト)」だと言ってジェシカを追いかけ回す。ワンナイトラブ至上主義のジェイコブは、真面目な弁護士の卵ハンナ(エマ・ストーン)によって、その主義が怪しくなります。キャルの最初のナンパ相手にマリサ・トメイなんて、こんな捨てキャラに豪華だわぁ〜と思っていたら、これがきっちり後で絡んで・・・と言う具合。
とっても忙しいのですが、脚本と演出に無駄がなく、さくさくテンポ良く笑わせながら進むので、混乱はなし。ペーソス溢れる場面では小技が効いており、余韻が残ります。ベタな描写はなくて、小市民的な人々を描いているのに、ユーモアも涙もすれ違いも、とても洗練されていたと思います。
イケてる旦那さんを、「イケダン」と言うのだとか。キャルは今も美しい妻が、自分がイケてないせいで愛想を尽かした、だから見返してやる!と思っていますが、これが違うんだな。いきなりの妻からの「離婚して!」宣言の裏には、浮気が原因ではなく、夫婦のすれ違いを感じます。結婚には段階を踏んでステージがあり、夫と妻の役割もそれぞれ変わって行きます。それも一つの成長なのに、キャルは「安定」と言う名の元、十年一日の如しだったのでしょう。夫婦として成長して行きたいと思っていたエミリーには、それが夫の慢心に感じたのだと思います。わかるわ・・・。イケテないのは外見ではなく、中身なのですね。
女性はエミリーしか知らないキャルは、盛りがついたように女性に手を出し始めます。これどっかで観たプロットだなぁと思っていたら、「ER」で私の愛しのグリーン先生@アンソニー・エドワーズも、妻しか女性を知らなかったのに、妻に浮気されて離婚。その後箍が外れたように女遊びしていましたっけ。その時指南していたのは、ダグ先生@ジョージ・クルーニー。しかしダグもジェイコブも、芯からプレイボーイのはずが、本当の愛を見つけると、これが13歳のロビーのように純情になってしまいます。どんなにベッドの相手が充実していても、そこに愛がないと、いくら食べても満足しないものです。愛の狩人なんて、やっぱり寂しい人なのですよ。
ジェシカに猪突猛進のロビー君が大変よろしい。男子たるもの、若いときはあれくらい勢いがなくっちゃね。ロビーの卒業式にジェシカがプレゼントしたのが小粋なもので、大人たちの喧騒の中、恋愛について少年少女たちが、ちょっぴり学べた様子も微笑ましいです。
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11月24日(木)
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