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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ブラック・スワン」
もう、予想していたのと、全然違うじゃございませんか。実は私、昨年の12月から精神科のクリニックの受付をしており、ちったぁ精神疾患についてお勉強しておるわけです。そんな素人に毛が生えた程度のワタクシめでも、これってこの病気じゃないの???と、始まってすぐ感じました。以降稚拙に分析してしまい、素直に作品に入れませんでした。あぁ残念!監督はダーレン・アロノフスキー。本年度アカデミー賞主演女優賞受賞作品(ナタリー・ポートマン)。
ニューヨークのダンサーのニナ(ナタリー・ポートマン)は、同じくダンサーだった母(バーバラ・ハーシー)の期待を一身に背負い、厳しい練習に励んでいます。そんな時バレエ団のプリマであるべス(ウィノナ・ライダー)が引退、座付きの振付監督トマ(ヴァンサン・カッセル)は、「白鳥の湖」の主役に、ニナを抜擢されます。優等生のニナは、清楚な白鳥は完璧に踊れますが、官能的な黒鳥は上手く表現できません。ライバルの奔放なリリー(ミラ・クニス)に役を取られるのではないかと、疑心暗鬼になるニナ。次第に精神が蝕まれていきます。
え〜と、予告編で出ていた幻覚、私は主役に抜擢されたプレッシャーやストレスで、次第に神経をすり減らしたヒロインが観たのだと思っていたのですよ。しかしだね、それがまだオーディションに行く前の段階から、幻覚やドッペルゲンガーを観る訳です。自傷行為もあり。もちろん抜擢後はその病的な状態が加速。はい???
抜擢される前から病に罹っているんですね。当方ドクターじゃないんで、病名は恐れ多くてここでは書けませんが、とってもポピュラーな精神疾患が思い浮かぶ。ここで根本的な視点が激変してしまい、以降精神疾患を抱えた人の物語として観てしまいました。
当初は少しかまい過ぎるけど、仲の良い母娘に思えたのが、次第に母は娘の年齢には不相応の溺愛と抑圧を繰り返し、ニナの神経を蝕む根本なのがわかります。会話から母はかつて座付き監督(トマとは別)と関係を持ち、キャリアを捨ててニナをシングルで出産。以降自分の果たせなかった夢を娘に託しているのがわかります。娘にもしっかりその事は伝えています。
でも母は同じダンサーでも群舞の一人。出産は28歳と、既に先は見えていたその他大勢の一人だったわけ。出産を大成出来なかった事の言い訳にしたいのでしょう。おまけに自分より美貌と才に恵まれた娘に、嫉妬もしている。正常な親子関係を営んでいる方には、えぇぇ〜?と驚かれるかもですが、同性の娘に嫉妬する母親、いるんです。その嫉妬は邪悪だとはわかっているので、子供を束縛し同化して運命共同体になる事で、折り合いをつけるわけです。ややこしいでしょ?私の母も同じような人だったので、この辺の描写はよーくわかる。
ニナはと言うと、大人になって母の嘘と執着の愛に苦しみながらも、愛され保護されている事には素直に感謝しているので、反発心も抑え込みます。まぁ反発すると、この手のお母さんは発狂するしね。正確に言うと、子供が言う事聞くようにヒステリーを起こすわけ(ケーキのプロット参照)。無自覚の狂ったふりです。そうすると、子供は学習しているので反発はせず(後で面倒くさい)、代わりに自分の神経に変調をきたす。おまけにストイックなダンサーの日常、ライバルたちとの葛藤が、それに拍車をかけます。
ニナは性的にも奥手。これは自分が婚外で出生している(私の想像)事に起因しているのでは?母に感謝は出来ても、やはり辛いのでしょう。自分自身で自己評価が低いのかも。トマに気があっても、無理に異性やセックスへの憧れや欲望を抑え込んでいるので、ドッペルゲンガーはセクシーで、ドッペルゲンガーを実在したような、奔放なリリーが非常に気になる。セックスに恐れがあるのも、妊娠を嫌悪する気持ちがあるからでしょうか?それで現実と幻覚が行ったり来たりしながらも、性の相手は女性なのでしょう。
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05月19日(木)
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