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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「スプライス」

先週の木曜日に見たのに、仕事やらパソコンが逝ってしまったりで、書くのが遅くなってしまいました。ちょろちょろこの映画日記で、亡くなった母の悪口を書いているバチアタリ娘の私ですが(母もさぞ草葉の陰で反省しているはず)、あぁお母ちゃんの子やねんなぁ・・・と、つくづく思い知るのが、この手の作品が大好きなこと。「エンブリヨ」とか「ドクター・モローの島」とか「ザ・フライ」とか「スピーシーズ」とか(もうええって)。要するにいかがわしいホラーやミステリーです(ポイントは「いかがわしい」)。まぁね、高校生と小学生の娘を連れて、「悪魔のいけにえ」を見に行くような人でしたから(さすがに後で後悔していたが)、私も筋金入りということで。好事家には絶賛、一般の人には気持ち悪いと真っ二つの作品です。私は面白かったけど、もうちょっと描きこんだら傑作だったのになぁと、ちょっと残念な気持ちも。監督はヴィンチェント・ナタリ。
化学者のクライブ(エイドリアン・ブロディ)とエルサ(サラ・ポーリー)夫妻は、医薬品企業の援助を受けて新製品の開発に取り組んでいます。まずは動物同士のDNAを掛け合わせて、オスとメスの「ジンジャーとフレッド」の開発に成功した二人は、企業から止められていたのにもかかわらず、人間と動物のDNAを掛け合わせた生物の開発に取り組みます。生まれたのはメスのドレン(デルフィーヌ・シャネアック)。公表するわけにも行かずドレンを育てていた二人ですが、発覚しそうになり、ある廃屋へドレンを匿うことにします。
のっけから、気色悪いジンジャーとフレッドを観て「なんて可愛いの」と、うっとりするポーリーに、お前、頭おかしいだろ?と突っ込みましたが、これは序章でございまして、以降エルサは頭はいいけどイカレた女を爆走。人間と動物のDNAを掛け合わせるなんて、倫理上大変問題なのは素人でもわかります。で、クライブはのらくらエルサを止めますが、全然ヨメは聞かず。おい、しっかりしろよ、亭主だろ!と情けなくなり、ヨメにはちったぁ亭主の言うことも聞け!といらいらしていたら、生物誕生。ドレンと名付けます。

出てきた時こそ得体の知れない生物でしたが、段々と人間もどきになってくるドレンちゃん。キモカワ系です。ひらひらのワンピースなんか着せちゃって、まるで母のように甲斐甲斐しく世話をするエルサ。この辺はね、確かに「生みの親」なので、とても気持ちはわかる。ドレンちゃんもしっかりなついて、抱かれる様子や発熱時の弱々しい様子など観て、ワタクシも思わずこの子なら飼いたい、いや失礼、育てたいなと思いました。この母性のツボを刺激しまくる演出は、やっぱ異形の人を愛するプロデューサーのギレルモ・デル・トロの意向でしょうか?
知性や人格を持ち始めたドレンちゃんは、段々とキモカワからキモ美し系に。
画像左がドレンちゃんの全容。膝から下は鳥みたいで、尻尾もありますが、膝から上は普通の女性。顔はヒラメ顔でスキンヘッドです。これに格納式というか、感情が高ぶると自然に羽が出てきて、このビジュアルはなかなか美しいです。気持ち悪い寸止めで、奇妙な美しさがあり、私は好きでした。

1分が1日に相当する速さで成長するドレン。言葉は話せませんが理解は十分出来て、喜怒哀楽や情緒も成長していきます。幼稚園の子が書くような幼い絵でクライブを描くドレン。外に行けず廃屋に一人きりの寂しさに耐えかねて逃げ出そうとしますが、「愛しているよ」というクライブの言葉に引き返します。育てる過程で愛情の湧いてきたクライブにとっては、父性から出る「愛しているよ」ですが、ドレンにとっては別の意味。
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02月02日(水)
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