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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」
遂に観てまいりました。キング・オブ・カルト、石井輝男の「恐怖奇形人間」です。長いこと観たい観たいと思っていた作品でしたが、内容が内容のため、ビデオ化もDVDも出ておりません。熱狂的なファンが居る模様で、あちこちの特集上映で何度も上映されるも、たまに大阪に来た時はレイトばかり。一昨年もテアトルで上映されたのですが、レイトだったのであきらめました。何気なくネットで検索している時、大阪は高槻の映画館でこの作品を上映すると知りました。それも陽の高いうちに!

しかしここで問題が。主婦というのは子供が大きくなっても、当日どんな用事が出来るかわからんので、こういう特集上映では前売りを買うのはとっても危険。そうするとですよ、映画代1800円、高槻はとっても遠いので電車賃往復1080円で、なんと3000円近くするではないか!

日頃映画代単価千円切るのに必死な私がですよ、そんなお大臣さまのような料金、滅相もございません。それも家族や友人に言えないようなタイトルの作品をですよ、家から小学生の遠足並に遠い所までですよ、また「独りで」(家族に言わすと変人らしい)観に行ったことがわかれば、何を言われるかわかりません。またあきらめるのかぁ・・・

と思った私に救いの手が!ミクシイで私の友人さんたちにはお馴染みの北京波さんから、大阪府下ほとんどの劇場で使えるチケットを5枚もいただきました。お優しい北京波さんは、「ご家族分」と仰っていましたが、そんなもの、私独りで全部使います。くー、(無駄に)精進していて良かったなぁ。

理由がわからぬまま精神病院で監禁されていた医学生の人見広介(吉田輝男)は、彼を殺そうとする坊主頭の男を逆に殺して、病院を脱走します。その途中自分の記憶する子守唄を歌うサーカスの少女初枝(由美てる子)と知り合い、次の日の再会を約束しますが、彼女はその時何者かに殺されてしまいます。殺人の汚名を着せられた広介は、彼女の残した「裏日本」と言う言葉を手がかりに、旅に出ます。途中の電車の中で、自分と瓜二つの菰田源三郎という男が亡くなったのを知る。何か秘密を解く鍵があるはずだと、源三郎が生き返ったとして、菰田家に入り込んだ広介。源三郎の父丈五郎(土方巽)は、生まれつき指に奇形があり、そのため人嫌いになり、無人島にこもってくらしているというのです。その島で丈五郎は、奇形人間の楽園を作ろうとしていました。

先に一言。

遠い・・・遠いぜ高槻セントラル!

私は大阪市内の地の利の良いところに住んでいるので、あんなにたくさん駅を通り過ぎたのは、何年ぶりかなぁ。

大体の筋は知っていたのですが、精神病院の看守役の高英男でまず大受け(これに肯いたら、あなたも立派な好事家)。シャム双生児の片方が近藤正臣なのは知っていましたが(その方が変。画像の左のお人です)。カラーなんですが、なんとなくモノクロムードの精神病院の様子は、おどろおどろしくて、なるほどなかなか観られないような薄気味悪さです。

この作品は1969年度の作品で、1961年生まれの私は、小さい頃夕暮れまで外で遊んでいると、祖母から「子取りにさらわれて、サーカスに売られてしまうで」と言われたもんです。サーカスにはそんな秘密めいたムードがあったため、初代はサーカスの少女という設定だったのでしょう。それに「裏日本」!そうそう、私が子供の頃は、太平洋側を表日本、日本海側を裏日本と、普通に言っていました。いつの頃からかそういう呼称はなくなりましたが、懐かしく思いながらも、やっぱりこの言い方はあかんわなと思う私。

広介が源三郎に成りすます場面で、由利徹、大泉滉のお坊さん、上田吉二郎のお医者さん、看護婦役で桜京美まで出ているではないか!こんなのんびり笑えるシーンがあるのも知らなかったので、なかなか新鮮です。


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09月22日(金)
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