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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「マッチポイント」

う〜ん・・・。悪くなかったんですけど、面白かったんですけど、好きな作品じゃありません、と結論から言ってみる。ジョナサン・リース・マイヤーズの色男ぶりや、画像のスカーレット・ヨハンソンの妖艶さが大好評で、それは確かに上々でした。でもなぁ、私は監督ウッディ・アレンの無神経さというか意地悪さというか、そういうものを感じてしまって、だから後味悪かった作品です。

イギリスのロンドン。貧しい生い立ちからプロテニス選手になったクリス(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、今は引退して高級会員制テニスクラブのコーチをしています。そこへコーチを受けにきた上流階級の青年トム(マシュー・グード)に気に入られたクリスは、家族といっしょのオペラの公演に招かれます。そこでトムの妹クロエ(エミリィ・モーティマー)と出会います。クリスに夢中になるクロエ。上流階級の世界に入り込みたい野心の持つクリスは躊躇無くクロエを受け入れます。ある日トムの家のパーティに招かれたクリスは、トムの婚約者であるノラ(スカーレット・ヨハンセン)という魅力的なアメリカ人女性と出会い、一目で惹かれます。その後トムとノラは破局。クロエと結婚していたクリスですが、ノラとふとしたことから再会後、不倫関係に陥ります。

前半はとってもグッド。ジョナサンのハンサムだけどちょっと卑しさを感じさせる風貌やキャラは、確かに「太陽がいっぱい」や「陽のあたる場所」の貧しさから必死に成り上がりたい青年を彷彿させます。しかしどこか上流階級に溶け込めず、ノラに魅かれたのはその色香のせいだけではなく、同じ匂いのする彼女に、懐かしさや救われる孤独を見出したからでしょう。ノラに対する恋心に、純粋ささえ感じさせます。

スカーレット・ヨハンソンがもぉ〜。今21歳?ウッソー!30過ぎでも出せないような爛熟の色香を漂わせ、こりゃ男なら誰でもなびくわなと納得。「あなたは結婚まで漕ぎ着けるわよ。私とは違う」とクリスに語る姿は、捨て猫のようなほって置けない風情を醸し出し、ちょっとビッチな隙のある様子も含めて、あぁもう完璧。繰り広げられる数々のクリスとの痴態も、すごく刺激的でエロチックです。女の私でもいつまでも観ていたいような、クラクラ目眩がするほどの魅力が全開です。

妻の実家ヒューイット家の人々は、由緒正しき家柄なのでしょう。自分たちの財力と階級には、下々の者は誰でもひれ伏し憧れると思っていらっしゃる。それを無自覚に露にするのでいやみたらしいですが、アレンの皮肉り方が上手いので、滑稽にも感じます。ノラの言うクリスはOKで何故ノラはダメなのか?ノラは「嫁入り」する身分なので、ヒューイット家の一員として品性も家柄も問われますが(だから卑しき身分でビッチなノラはだめ)、クロエは一度パブのオーナーと駆け落ち騒ぎを起こしたいわば「傷物」。封建的保守的な上流社会の噂話に出ているはずです。いいところの結婚話は無理っぽい、そこへ現れた身分卑しき容姿端麗の青年は、如才なく自分たちにも溶け込めそうだ。自分たちが援助して大きい顔が出来るので、娘はいつまでも親の手元、願ったり叶ったり・・・。上流階級って案外スノッブなのねぇと、これも上手く皮肉って面白かったです。

しかし後半になると、そのウィットの富んだ皮肉が、私はには一気に悪意に感じられたのです。


以下ネタバレ














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09月15日(金)
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