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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「博士が愛した数式」
昨日久しぶりに道頓堀東映パラスで観てきました。近場のラインシネマでレディースデーに観ようと思っていたところ、お友達のとめさんから劇場鑑賞券を二枚プレゼントしていただきました。数ある劇場の中からこの作品を上映しているパラスをチョイス。せっかくなのでどなたか誘おうと思い、私より一回り若い奥さんが一緒に観て下さることに。神様は最適な人を私とご一緒させて下さったようで、原作も読んでいる方です。平日朝イチなのに場内はほぼ満員。二人で並んでポロポロ綺麗な涙をたくさん流しました。心に染みるというより、心を暖かく陽だまりで包んでくれるような作品です。

シングルマザーの杏子は結婚出来ない相手を愛し、息子(斉藤隆成)を生んだ後、家政婦を職として彼と二人で生きていました。杏子の今度の派遣先は記憶が80分しか持たない数学の博士(寺尾聡)。雇い主は博士の生計の面倒をみる兄嫁(浅丘ルリ子)で、10年前二人で能を観た帰りに事故に合い、博士は後遺症として記憶障害が残りました。毎日会うのにいつも初対面の博士。しかし暖かく穏やかな人柄は杏子を和ませ、彼女に息子がいると知ると、そんな小さな子が家で一人で待つのはいけないと、博士は連れてきて毎日いっしょに夕食を共にするよう言います。息子は博士から「良い心のいっぱい詰まった頭だ」と頭を撫でられ、ルートと呼ばれて可愛がられます。このままずっと穏やかに日々が過ぎて行くであろうと思われたある日・・・。

数式公式がいっぱい出てきますが、どれもこれも博士が語るととても暖かみがあるのです。一般的に数字数学と言うと、冷たい印象ですが、微塵もそう感じさせません。二つの数字を堅く結びつける友愛数、夜空の星の如くたくさんあるのに、唯一無二の素数の話など、こんな先生に習っていれば、私も数学が好きになったのにと思ったのは、私だけではないはず。

毎日杏子の足のサイズを聞き、「24は4の階乗だ。実に潔い数字だ」と彼女を褒め、ルートにも毎日「賢い心がいっぱい詰まった頭だ」と、頭を撫でます。記憶が80分しか持たない博士が、毎日同じ言葉を繰り返すのは、それは心からそう思ってのはず。行き当たりばったりなら、毎日会話がクルクル変わるはずなのです。そんな嘘のない博士の人柄に、杏子とルートは真心を感じたのでしょう。

毎日毎日同じ会話なのに、杏子が弾むように嬉しそうに答える姿に、彼女はルートを生んだ後、こんなに人に褒めてもらったことがないのでは?と思いました。シングルマザーは、婚外、離婚、死別の順で世間の風当たりが強いと思います。直接的な描写はありませんでしたが、それはルートも同じだったのでないでしょうか?繰り返し同じことを聞かされると、人は辟易してしまうものですが、博士からの心からの良き言葉のシャワーは、干からびたスポンジが見る見る水を吸収するかの如く、杏子とルートの心に広がったのだと思います。

家政婦と雇い主の域を超えた関係では?と思われる方もいらっしゃるでしょうが、私には擬似家族には見えませんでした。私の幼い頃の我が家にも家政婦さんがおり、家族旅行にいっしょに行ったり、遊びに行ったり、楽しい思い出もたくさんありますが、あくまで親しい間柄でも家政婦さんでした。それは別のところに派遣された杏子を、そこの人が「家政婦さん」と呼ぶ姿で表していたと思います。心から相手を思っても、私は家政婦なのだというのが、杏子のプライドなのだと思います。それはイギリスの執事にも似ているように感じさせるほど、杏子は分別のきちんとつく人に感じました。それはラストの四人のシーンにも現れていました。

義理の弟を疎んじる兄嫁に見えた浅丘ルリ子ですが、そんな簡単な役で、この人をキャスティングするかなぁと思っていたら、やっぱり理由がありました。以下ネタバレ(その後にも文章あり)**************









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01月27日(金)
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