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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ドミノ」
実在のバウンティ・ハンター(賞金稼ぎ)ドミノ・ハーヴェイのお話。ドミノは2枚目俳優ローレンス・ハーヴェイの実娘で、華やかなセレブ生活を嫌い賞金稼ぎで生きてきた人。残念ながらこの作品の完成前に35歳で亡くなったそうですが、そんな彼女の波乱の生涯が浮き彫りにされていると思いきや、出来上がりは監督トニー・スコットの自己満足映画。こういう題材は面白く描ける監督だと思っていたので、結構期待していたのに、すごーく残念でした。
10歳の時に父を亡くしたドミノ(キーラ・ナイトレイ)。母(ジャクリーン・ビゼット)はお金持ちの再婚相手探しに躍起。馴染めないセレブ生活にいやけがさした彼女は、15歳からモデルを始めるも入った大学は2週間で暴力事件を起こし退学。自分の生きる道を模索していた時知り合ったエド(ミッキー・ローク)やチョコ(エドガー・ラミレス)とともに、賞金稼ぎとして生きることにします。賞金稼ぎとして華やかな名声を得た頃、ドミノたちが依頼された仕事には裏があり、三人は破滅の道へと進んでいくとは、知る由もありませんでした。
前半はいいんですよ。今までのイメージから全然違うキーラも、少々苦しいながら健闘してるなぁと好感が持てるし、子供の頃から周囲から浮く彼女の孤独も、さらっと流しているけど気持ちは伝わってきます。
問題は後半から。ドミノの数々の賞金稼ぎの場面が出てきて、その時の彼女の心の浮き沈みや葛藤を掘り下げながら、キーラやロークたちのアクション場面がメインだと思うでしょ?ところがどっこい、最初の仕事と最後の仕事だけしか出てきません。最初の仕事の、色仕掛けで賞金相手の居場所を教えてもらう場面にまずびっくり。だいたいヌンチャクや手裏剣の稽古をつんできたと、ドミノが胸を張っていいますが、実践と稽古は違うのは誰でもわかるもの。いきなり初仕事で拳銃に囲まれたら立ちすくんで当たり前なのに、ストリップまがいを提案してなんなくピンチはクリア。普通ありえないでしょ?これからの展開に不安がよぎり出しますが、実話が元ということもあり、まっ、女賞金稼ぎですからね、私の理解の範疇は超えてる人なんだわと、納得しましたが・・・。
彼らのエージェント(デルロイ・リンド)が金に欲を出したため、ドミノたちは追われますが、この展開がイマイチ飲み込めません。誰が悪いのか誰に追われているのか、おおまかなことはわかりますが、人種問題やアメリカの保険制度や就労問題の欠陥、袖の下、実業家の裏の顔、マフィアなどてんこ盛りに入り乱れる中、何と元「ビバヒル」出演者が実名で出演、凋落の人気スターの哀歓まで盛り込んでいて、膨らませるだけ膨らませています。チャカチャカ四六時中変わるカメラと、下手に時空をいじっているため、何が何だかわかりません。それはお前がバカだからだよ、と言われればそうなんですが、この手の作品ってバカでも楽しめなきゃいけないんじゃないの?監督だけがわかってもなぁ。
膨らませたガス抜きが派手な事故だったり、キーラの濡れ場だったり、愛の占い師だったり、果てはアフガン問題まで出てくるんだよ、さぁお立会い!
映画的展開は悪い方へ悪い方へと転び、ほとんど最後はトンデモ系です。
キーラはパンツとブラだけで腰をクネクネさせたり、ボディダブルでなければせっかく脱ぎのある濡れ場もあるのに、そーゆー場合じゃありませんの箇所なんで、これも失敗気味。その事の方が記憶に残り、さっぱり賞金稼ぎとしての男勝りなシーンが記憶から抜けています。というか、元々少ないし。二回拳骨で相手を殴るシーンが出てきますが、両方鼻血を出していたので、それが強さの証明ってか?その相手というのは素人さんなんですがぁー。今までのお嬢さんっぽいイメージから、キーラ自身脱却しようと受けた仕事だと思いますが、この演出では彼女が可哀相に思いました。
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10月27日(木)
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