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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「バットマン・ビギンズ」
この男前やなぁ〜の、クリスチャン・ベールの素とバットマン姿の対比を皆様に是非見ていただきたく、あれこれしている間に、他の画像がぶっ飛んでしまいました(号泣)。歴代バットマンは、初代マイケル・キートン、ヴァル・キルマー、ジョージ・クルーニーと、もうちょっとでブレイク的な俳優を起用してきましたが、作品的には一番評価の低かった「Mr.フリーズの逆襲」のクルーニーが、一番ブレイクしたのは皮肉です。今回はバットマン誕生秘話とも言うべきお話なので、落ち着いていますが、若さと華も持ち合わせたベールの起用は、私は大成功だったと思います。

大富豪ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)は、子供の頃自分のせいで両親が殺されたとの自責の念にさいなまれ、自分を見失ってしまい生きる道標を失いつつ、両親の敵への復讐は忘れていませんでした。しかし、たどりついたヒマラヤのふもとでの修行ののち、真の正義感に目覚めた彼は、再びゴッサムシティへ戻ります。暖かく彼を迎えたのは、ウェイン家の執事を永く勤めるアルフレッド(マイケル・ケイン)。彼と二人三脚で、街に平和な日々を取り戻すべく、ブルースはバットマンとしての日々を歩き始めます。

今回の監督は「メメント」のクリストファー・ノーラン(イギリス出身)。脚本も担当しています。主役のベール以下、ケイン、リーアム・ニーソン、ゲーリー・オールドマン、トム・ウィルキンソンなど、多数の英国人俳優が出ているせいか、ティム・バートン版のダークでファンタジーっぽい世界が、現実感の強いインテリジェンスを感じさせる世界に様変わりしています。このシリーズの敵キャラは、ジョーカーやキャットウーマンなど、アメコミそのままを用いて描いていましたが、今回のリーアム・ニーソン&渡辺謙コンビは、修行風景こそちょっと忍者もどきでオリエンタルしていましたが、自分の正義で世界を染めようとする、例えると007風。派手な仕掛けには欠けますが、渋さと知性があります。

バットマンより脇が目立った他の作品に比べ、腕のある老練な名優たちは、きちんと自分の存在感をアピールしながらも、ベールを盛り立てているのに感心します。上に書いた他には、父親役にライナス・ローチ、お仕事を選ばず出演するモーガン・フリーマン、イギリス組に押されて、ちょっと精彩がなかったオランダ出身のルトガー・ハウワーなど、地味でゴージャスなオヤジ俳優のオンパレードです。特に私が気に入ったのがケインとオールドマン。執事といえばイギリス人(本当か?)。執事というのは、主人の忠実な僕として、自分の意見は決して口には出さないと聞いたことがありますが、ケイン演ずるアルフレッドは、言いつけは守りますが、お小言もいっぱい、しかし失意にブルースが沈む時、「僕を裏切らない?」といつも聞く彼に「決して」と何度でも励まします。彼は小さい時両親を亡くしたブルースにとっての心の拠り所であり、祖父代わりの存在だとしみじみさせます。しかし執事の立場からは絶対はみ出さないわきまえ方が、とても心地よいのです。ケインは老いて益々素敵になるようです。

オールドマンは彼が演ずるのだから、きっとどこかで何かするのだろう、と思わす隙も与えないほど、しょっぱなから善人ムード満点。ちょっと気弱な感じが、私が一番好きな彼だった「蜘蛛女」に通じるものがあり、本当に変幻自在な人だと感心。こんなひねりのない善人なんて、もう二度と観られないかも知れません。


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06月22日(水)
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