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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「共喰い」
それでも私が良い映画だと思えるのは、遠馬を演じた菅田将輝から、血の汚さに葛藤する少年の苦しみに、絶望ではなく未来と瑞々しさを感じたからです。それは遠馬が与えられた業が、自分の人生を左右する重要な事と捉えているからです。無教養な父親を超えた、真摯な人生観だと思います。仁子が無慈悲に「あの男の子や」と言い続けた本心は、ここにあるのだと思いました。
親の業や血の汚さに苛まれる子供はたくさんいます。大人になっても、その葛藤に縛られる人もいるはず。それはちっぽけな事なんだと、嘘くさく語るのではないです。だってちっぽけでは絶対ないから。もがき苦しみながら乗り越える姿を描いた事に、私は感銘を受けました。
ただ、父親の息子への気持ちは描けているのに、息子の父親への気持ちは、性癖を嫌悪する意外は、あまりわからない。この辺は、決して嫌いではないと描く方が、より遠馬の苦しみが浮き彫りになると思います。
役者は菅田将輝は文句なし。私の遠馬の感想も、彼なくば成立しません。それは田中裕子も篠原友希子も同じです。木下美咲は、どうなんでしょうね、私はイマイチでした。光石研は健闘していましたが、ちょっとミスキャストかなぁ。ハンサムな男性ではないと言う点では、着眼は良いと思いましたが、狂気と普段の生活の落差を、もっと見せて欲しかったです。
と、つらつら最後まで文句垂れていますが、感想を書き上げても、好きな作品だと言う認識は変わりません。色んな方と語って、もっと掘り下げてみたい映画です。うん、やっぱり好きです。
09月19日(木)
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