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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ゴールドボーイ」
そして咄嗟の嘘がとにかく上手い。人格障害系の人も、息を吐くように嘘を付きますが、第三者が加わると、たちまち嘘が露呈する。そう思うとサイコパスの嘘は、誰にも納得させてしまう。とにかく嘘が鮮やかで、周囲は翻弄されるだろうと思います。IQの高さがうかがえる昇のサイコパスぶりは、後々合わせ鏡が出てきて、成る程、と答え合わせが出来る作りです。

子供たちの方が主役みたいの声も聞こえますが、私はこの作品、岡田将生の出色の演技で成功したと思っています。とにかく「美しい」のです。イケメン、ハンサム、男前。男性の容姿を褒める言葉は数々あれど、美しい男性は希少です。元々綺麗な顔立ちだとは思っていましたが、今回は酷薄で背徳的、凄みのある美貌が、サイコパスの役柄に映えるの何の。狂気じみた笑顔もぞくぞくしたし、睨み顔は苦み走っている。ヴィスコンティの映画に放り込まれても、違和感ないような美貌で、本当に惚れ惚れしました。

子供たち三人も、それぞれとても頑張っています。特に私が目を引いたのは、当初の弱々しさから、母性にも似た愛情を朝陽に注ぐ夏月役の星乃あんな。まだほんの子供なんですが、作品の中で、夏月が成長していくのが、手に届くように解りました。ラスト近くに昇のマンションに入る前に、一旦振り返るショットが秀逸。これから始まる事が何か、全て受け入れていたのでしょうね。

この四人に比べたら、名のある俳優さんたちが、とにかく凡庸で、ほぼ記号のようでした。でもそれは、四人を引き立たせるために、わざとそう演出した気がします。その凡庸の中で一人浮かぶのが、江口洋介の巌。IQの高い冷酷なサイコパス合戦の中、叩き上げのスキルと勘という、目に見えない物を武器に戦う様子は、得体の知れないサイコパスを、既視可させる存在だったと思います。

三人の子供たちは13歳から14歳。罪になるのは14歳からです。最近、小学生が水族館のメダルを純金だと嘘をついて同級生からお金を騙し取ったり、中学生が美人局したり、世も末じゃと思う事が頻発しています。もう犯罪の年齢は、10歳に下げてもいいんじゃないかな?

事の善悪は、10歳頃には、ほぼついているはず。なので14歳では感受性や想像力、他者への傷みなど感じるための矯正は、間に合わないと思います。この作品を観て、この事を強く思いました。子供の数が減る中、犯罪年齢を適切に下げる事は、犯罪からの抑制力ともなり、子供たちの人生を守る事にもなると思います。

昇は「このクソガキが!大人舐めるなよ!」と、子供たちに言います。昇が言うと、あんたが言うなになりますが、これは大人が子供たちにきっぱりと、言わなくちゃいけないセリフだと思います。映画も面白かったですが、ドラマもとても面白いとか。私が疑問に感じた箇所がどう描かれているのか、確かめてみたいと思います。

03月17日(日)
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