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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「波紋」
棺の件は、依子の立場なら、私も笑います。だって可笑しいもの。あれこそ、夫からの解放じゃないかな?

初老女の星、真理子様が絶品です。普通に観ればとても同情されるはずの依子を、絶妙にいけ好かない女として演じています。このいけ好かなさこそ、依子の女の年輪だね。光石研は、卑小でバカやろー!の夫を、腹が立つほど、これまた好演。こういう役、本当に上手い。二人とも還暦越えで、商業映画の主役を張るんですから、大したもんだと、心より拍手を送りたいです。

エンディングの長回しで決めた、雨の中の喪服の依子の、見事なフラメンコ。笑顔が呪縛からの解放なら、こちらは呪縛から前進の決意ですね。ぬめぬめした内容から予想できない、爽快なラストでした。

母の日に、三男が夕食をご馳走してくれました。「いい子に育って、お母さん幸せや」と礼を言うと、「いい子に育てたんはお母さんやから、遠慮せんと食べてや」と言われて、嬉しかった。宗教に走った母から逃げた、依子の息子に聞かせてやりたい。大馬鹿息子が目を見張るほど、依子の残りの人生が楽しいものでありますよう、心から祈ります。

06月02日(金)
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