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ケイケイの映画日記
by ケイケイ
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■「ナイトメア・アリー」
トニ・コレットにもびっくり!彼女の作品は幾つも観ていますが、こんなにセクシーな彼女は初めて観ました。受けた恩を返しているのか、深い愛情でピートを包む様子は、まるで見世物小屋の聖母のようです。艶めかしくスタンを誘う様子は、女性としてまだまだ生臭いのですが、決して低俗に見えなかったのも、トニの演技力のお陰です。

この二人のアラフィフ女優の妖艶さのお陰で、30半ばのルーニーが、「三流オペラ」の底辺に咲く、一輪の可憐で清楚な花に見えるのですから、女優三人のアンサンブルは、とても良かったと思います。誰もオスカーにノミネートされなかったのが、とっても不思議です。

本当はもっと葛藤があったはずのスタンも、描き込みが足りなくそこが見えません。自分の良心と抗って負けるような描き方ならまだしも、あれじゃ元からチンケな詐欺師です。なのでラストの「俺の宿命だったんだ」と言うセリフにも、大きな哀しみが湧いてこない。クーパーの演技が良かっただけに、残念でした。

全体に冗長です。無駄に長い。決して散漫ではないですが、人物一人一人の描き込みが足りず、人物描写が、役者の演技頼りになっているのが、不満でした。決して悪い作品ではないだけに、とても惜しいと思います。私的にこの作品のキーワードは、「良心」だと思いました。

両方見た人が、タイロン・パワー版の方が良かったと書いていたのを読みました。アマプラとか配信ないか、当たってみます。だって「フリークス」も観たんだもん!

03月29日(火)
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