ID:10442
ケイケイの映画日記
by ケイケイ
[927262hit]
■「最後の決闘裁判」
その他、マルグリットに不利な証言をする女友達も印象的。女性は選ばれるのみ、好きな相手と付き合う事も許されず、皆の憧れの的であったジャックに、マルグリットが「抱かれた」事への嫉妬でしょう。、好色な夫を嫌いながら、14年間に8人の子供を生まされたピエールの妻など、人格などなかった時代の女性たちの生き辛さを、この作品から嫌と言うほど感じました。
中世の戦闘場面、サロンの様子、お屋敷内など丹念に再現した美術は特筆ものでした。そして男二人の決闘場面。最初は馬に乗って槍や剣、血みどろになりながら、最後は素手で渡り合う二人に充分な時間を割いたのは、残酷な決闘は、当時の民衆の娯楽となっていたが、興奮しながら観ている私たちだって、同じく非情なのだと教えてくれます。裸にむかれ、引きずって行かれる敗者を見て、我に返りました。
ジョディ・カマーは初めて見ましたが、美しく可憐、聡明さも感じさせ、とても素敵でした。男性社会に振り回されながら、翻弄されまいと必死で食い下がるマルグリットを好演していました。意外な好演はベン・アフレック。脚本家や監督として優秀だと認識していましたが、俳優としては別に。ところが敵役に近いピエールを演じて、卑小さではなく権力者の力を見せつける大物っぷりを感じさせ、好演でした。
夫との閨の後、「良かっただろう」と言われ、恐怖で引きつった顔で「はい、とても」と返事していたマルグリット。レイプされた事を夫に告げるのは、命がけだったでしょう。そして己のプライドのため、妻の命まで巻き込んだ夫も詰る。当時としては先鋭的な女性だったでしょうが、このお話は実話が元。脚色が過ぎるかもしれませんが、80を過ぎた大御所スコットが、私たち女性の為に、こんな立派な先達もいたのだよと教示したかったのなら、とても尊い作品です。
10月30日(土)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る